- 合格基準は総得点と科目別足切りの二重構造
- 模擬試験の本当の目的は弱点の可視化にある
- 直前期に8割安定で本番7割が確保できる
模擬試験の点数が合否の指針にならない理由
「毎日過去問を解いているのに、本番で合格できる気がしない」
そう感じていませんか?
登録販売者試験を目指す受験生の多くが、模擬試験の結果をどう解釈すればよいか迷っています。点数が出ても、それが合格ラインを超えているのかどうか判断できない。どの科目を重点的に補強すべきかもわからない。そうした「模擬試験の読み方の迷子」状態は非常に多いのです。
私は大学で登録販売者試験対策講座の非常勤講師を務め、調剤薬局チェーンの人事部長・経営コンサルタントとして採用現場にも関わってきた薬剤師です。講師・採用・薬の専門家という三つの立場から、模擬試験の本当の活用法をお伝えします。
合格基準の二重構造を知らなければ模擬試験の意味がない
模擬試験の合計点を見て「84点以上あるから安心」と感じていませんか?
登録販売者試験の合格基準には、多くの受験生が見落とす二重構造があります。
厚生労働省「登録販売者試験実施要領」によると、合格の条件は次の二つです。
- 総得点:120問中84問以上の正解(正答率70%以上)
- 科目別:各試験項目ごとに正答率35〜40%以上(都道府県により異なる)
この科目別の足切りラインこそが、模擬試験を正しく読むうえで最重要のポイントです。
試験は5科目で構成されており、主な医薬品とその作用(第3章)のみ40問です。 残る第1・2・4・5章は各20問という配分になっています。合計点が84問を超えていても、一科目でも足切りラインを下回れば不合格になります。
少し想像してみてください。第3章で高得点を取っていても、第5章の正答率が30%を下回れば不合格になるのです。
模擬試験の合計点だけで安心するのは、地図の一部しか確認せずに旅立つようなものです。5科目それぞれの得点率を確認することが、合否判断の出発点です。
模擬試験を診断ツールとして使う3つのステップ
模擬試験の目的は「点数を取ること」ではなく「弱点を可視化すること」です。
私が大学の対策講座で指導していた際、成績が最も伸びた受験生に共通していたのは模擬試験の結果を分解して活用するという習慣でした。
ステップ① 科目別の得点率を計算する
答え合わせが終わったら、まず各科目の正解数と得点率を表に書き出します。
「全体で75%取れた」という情報よりも「第3章は62%、第5章は33%」という情報のほうが実践的な価値があります。受験地の足切りラインが35%だとすれば、第5章が危険水域に入っていることが一目でわかります。
ステップ② あいまい正解に別途マークをつける
模擬試験で正解していても「カンで選んだ」「2択で迷った末に正解した」という問題は、本番で同じように正解するとは限りません。あいまい正解を除いた確かな正解数だけで得点率を再計算することで、実力に近い数値が見えてきます。
ステップ③ 誤答パターンを3種類に分類する
誤答した問題は「知識不足」「読み違い」「知識の混同」の3種類に分けられます。知識不足はテキスト復習で補えます。読み違いは本番での見直し習慣で対応できます。知識の混同は、類似成分を表にまとめて整理する方法が効果的です。
この分類が、残り学習期間の計画を立てる土台になります。
合格ラインを安定させるための科目別の安全圏
2023年度(令和5年度)の登録販売者試験の全国平均合格率は43.7%でした(出典:厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」)。
2024年度(令和6年度)の全国受験者数は54,516人で、前年度から2,302人増加しています(出典:厚生労働省 令和6年度登録販売者試験実施状況)。
都道府県別に見ると、2024年度は最高の北海道62.3%から最低の沖縄県24.5%まで約38ポイントの差がありました(厚生労働省データをもとに集計)。
この数字が示すのは、受験地の選択と科目ごとのバランスが合格を大きく左右するという事実です。
模擬試験で目指すべき科目別の安全圏の目安は次の通りです。
| 試験項目 | 問題数 | 足切り基準 | 安全圏目標 |
|---|---|---|---|
| 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 | 7問以上 | 14問以上 |
| 第2章 人体の働きと医薬品 | 20問 | 7問以上 | 14問以上 |
| 第3章 主な医薬品とその作用 | 40問 | 14問以上 | 28問以上 |
| 第4章 薬事関係法規・制度 | 20問 | 7問以上 | 14問以上 |
| 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 | 20問 | 7問以上 | 14問以上 |
| 合計 | 120問 | 84問以上(70%) | 96問以上(80%) |
※足切り基準は都道府県により35%(7問)または40%(8問)で異なります。出典:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」・各都道府県公式案内
全科目で70%以上かつ合計84問以上が安全圏の目安です。受験地によって足切りラインが異なるため、自分が受験する都道府県の基準を事前に確認することが不可欠です。
模擬試験を実施する最適なタイミング
模擬試験は、学習のどの段階で使うかで得られる効果が大きく変わります。
学習序盤(学習開始〜2ヶ月)の模擬試験
「どの科目が苦手かを知るための診断」として活用します。この段階では点数が低くて当然です。低い結果を見てモチベーションを落とすのではなく「補強が必要な箇所がわかった」という有益な情報として受け取ることが重要です。
学習中盤(試験2〜3ヶ月前)の模擬試験
インプット学習からアウトプット学習へ移行するタイミングです。この段階で本番形式の模擬試験を解くことで、時間配分の感覚と知識が問題形式に対応できているかを確認できます。
学習終盤(試験1ヶ月前〜直前期)の模擬試験
この時期の目的は弱点の最終確認と絞り込みです。全体の得点率が安定して75〜80%に達していれば、本番に臨める実力に近づいています。
| 学習段階 | 主な目的 | 全体得点率の目安 | 活用ポイント |
|---|---|---|---|
| 序盤(学習開始〜2ヶ月) | 苦手科目の診断 | 40〜50% | 低い点数は補強箇所の発見と捉える |
| 中盤(試験2〜3ヶ月前) | 時間配分と本番形式への適応 | 60〜70% | 本番と同じ時間配分で実施する |
| 終盤(試験1ヶ月前〜直前) | 弱点の最終確認と絞り込み | 75〜85% | 補強箇所を絞り深掘りする |
※得点率の目安は学習計画の参考値であり、合格を保証するものではありません。
直前期に弱点をすべてやり直そうとするのは逆効果です。焦って大量に手をつけると、得意科目のコンディションを崩すリスクがあります。直前期の模擬試験は補強箇所を絞り込むツールとして使ってください。
過去問と模擬試験の使い分けが合否を左右する
「過去問だけやっていれば大丈夫」という声を耳にすることがあります。
しかし採用側として多くの合格者に接してきた経験からいうと、過去問だけでは対応しきれないケースが増えています。
理由は二つあります。
一つは、厚生労働省の試験問題作成に関する手引きが改訂のたびに出題内容が更新されることです。最新版は令和8年4月一部改訂版であり、受験年度に対応した最新の手引きで学習を進めることが不可欠です。
もう一つは、事例形式の問題が増加傾向にあることです。 たとえば「お客様がA商品とB商品のどちらを選ぶべきか相談してきた」という形式は、医薬品知識を実務に応用する力を問います。暗記だけでは対応できません。
過去問は頻出テーマの把握と出題形式への慣れに使い、模擬試験は総合的な実力測定と時間感覚の調整に使う。この使い分けが最も効果的です。
| 比較項目 | 過去問 | 模擬試験 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 頻出テーマの把握と出題形式への慣れ | 総合的な実力測定と時間感覚の調整 |
| 使用タイミング | 学習序盤から終盤まで継続的に | 中盤以降の節目で実施 |
| 対応できる出題 | 過去の頻出パターン中心 | 最新手引きと事例形式に対応 |
| 手引き改訂への対応 | 古い版は要注意 | 講座提供のものは最新版に対応 |
| 解説の質 | 教材により差が大きい | 通信講座は不正解の理由まで詳細 |
※令和8年4月一部改訂版の手引きに対応した教材で学習を進めることが推奨されます。
通信講座の模擬試験が独学の市販問題集と異なる理由
独学で市販の問題集を使う場合、模擬試験の質にばらつきがあります。
本番の出題傾向に即した難易度設定・科目バランスでなければ、模擬試験の点数が実際の合格可能性を正確に反映しない可能性があります。
通信講座の多くは、過去の本試験データを分析したうえで模擬試験を作成しています。 採点後の解説が充実している講座では、不正解の理由まで丁寧に解説されています。誤答からの学習効率は大きく異なるのです。
講師の立場からいうと、模擬試験後の復習の質が合否の境界線を引くといっても過言ではありません。
受験時期が近づいている方や独学での限界を感じている方は、今からでも通信講座を活用することを選択肢に加えてください。
本番直前期の模擬試験チェックリスト【保存版】
試験1ヶ月前に行う模擬試験で、以下の項目を確認してください。
得点面のチェック
- 全体の得点率が70%以上(84問以上正解)を安定して達成できているか
- 第1〜5章のすべての科目で40%以上の正答率があるか(受験地の基準を要確認)
- あいまい正解を除いた実力得点率が65%以上あるか
時間面のチェック
- 午前60問を120分以内で解けているか(見直し時間を含めて)
- 迷った問題に印をつけて余った時間に戻れているか
精神面のチェック
- 点数に一喜一憂せず、弱点の分析に集中できているか
- 「この科目が弱い→ここを重点的に復習する」という行動にすぐ移れているか
このチェックリストを模擬試験後の振り返りに活用してください。試験直前に繰り返し確認することで、本番への準備の精度が上がっていきます。
合格ラインは「超えるもの」ではなく「安定させるもの」
合格ラインを「かろうじて超えること」だけを目標にする学習には、落とし穴があります。
本番当日のコンディション・問題の難易度・試験会場での緊張感など、模擬試験では再現できない要因が複数あります。
模擬試験で安定して80%以上を取れるようになって初めて、本番で70%をキープできる実力の余白が生まれます。
友人の合格者から話を聞くと「直前期の模擬試験で80〜85%を安定して取れたとき、初めて本番が怖くなくなった」という声が少なくありません。
合格ラインを安定して超え続ける実力を目指すことが、最も合理的な合格戦略です。 手引きを習得して模擬試験で弱点を洗い出し、解説で理解を深めるサイクルを回せる環境が合格を目指すうえで有力な選択肢になります。
通信講座の模擬試験の質と解説内容を確認することが、最初の一歩になります。
FAQ
- 模擬試験は何回くらい受ければよいですか?
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学習序盤・中盤・終盤の3つの段階で最低1回ずつ、計3回が目安です。直前期はさらに2〜3回追加し、計5〜6回の実施が理想とされます。回数より重要なのは、毎回の振り返りで弱点を分解する作業です。同じ模擬試験を繰り返すよりも、異なる模擬試験で多様な出題パターンに触れることをおすすめします。
- 受験する都道府県によって足切りラインが違うのはなぜですか?
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登録販売者試験は都道府県ごとに実施されており、各都道府県知事が一定割合以上の正答率を合格基準として定めているためです。多くの都道府県では35%が基準ですが、東京都や香川県など複数の都道府県では40%が採用されています。試験前に必ず受験する都道府県の公式案内で基準を確認してください。
- 独学の市販問題集だけでは模擬試験対策として不十分ですか?
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市販問題集でも合格は目指せますが、最新の手引き改訂への対応や解説の充実度には差があります。模擬試験で得点が安定しない方や独学に限界を感じている方は、通信講座の活用も選択肢になります。講座ごとの模擬試験の質や解説内容は大きく異なるため、比較記事の登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較で自分に合うサービスを確認してみてください。
