第3章「主な医薬品とその作用」攻略法|最難関の突破戦略

【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • 第2章の自律神経から学ぶ「逆算思考」の重要性
  • 点数に直結する第3章の「3段階・優先順位マップ」
  • 限界を感じたときの「通信講座」という軌道修正法

※試験の最新情報は各都道府県の公式発表および厚生労働省「試験問題作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)」でご確認ください。
目次

その「手が止まる感覚」には、理由があります

テキストを開いて成分名のページを見たとき、勉強の手が止まった経験はありませんか。

「何から覚えればいいかわからない」「どこまで覚えれば足りるのかわからない」。登録販売者試験を目指す多くの方が、第3章「主な医薬品とその作用」で壁にぶつかります。

薬剤師として医薬品の知識を持ち、大学講座で受講生の指導もしてきた経験から言えることがあります。第3章で挫折が起きる理由は「頭の問題」ではなく「攻略の順序を知らないこと」です。この記事では、その攻略順序を具体的に解説します。

第3章が「最難関」とされる、三つの構造的な事実

まず、客観的なデータから確認しましょう。

第3章は全120問中40問を占める最大の科目です。(各都道府県の試験実施要領より)試験全体の約3分の1に相当します。

合格基準は「全体で70%以上の正答」かつ「各科目で概ね40%以上」です(都道府県によっては35%以上)。第3章を苦手なまま本番を迎えると、他の章の得点で補える範囲を超えるリスクがあります。

2024年度の全国合格率は46.7%でした(受験者54,516人・合格者25,459人)。約半数が不合格になっているという事実は、「誰でも受かる試験」という言葉の油断に起因している部分が大きいと採用面接の現場で感じています。

第3章の難しさは三つの構造から来ています。

まず「量の問題」です。出題範囲に登場する成分名は約500種類以上とされています。英語由来の化学物質名が多く、見慣れない文字列が並ぶため記憶の定着が難しくなります。

次に「類似名称の問題」です。「コデインリン酸塩水和物」と「ジヒドロコデインリン酸塩」のように末尾だけ異なる成分が複数登場します。細部の違いが問われるため、単純な丸暗記では対応できません。

そして「横断性の問題」です。かぜ薬に配合された成分が、解熱鎮痛薬・鎮咳去痰薬・抗アレルギー薬でも登場します。「どのカテゴリで問われるか」という文脈理解が必要になる点が独特の難しさです。

薬剤師・講師・採用側が見た「つまずきのパターン」

大学の対策講座で受講生と向き合ってきた中で、第3章の失点パターンには大きく二つのタイプがありました。

Aタイプ:成分名を一つずつ丸暗記しようとして時間切れになる

テキストの冒頭から順番に全成分を完璧に覚えようとするパターンです。学習初期に時間を使いすぎて、後半の漢方・生薬まで到達できないまま試験を迎えます。

「かぜ薬の成分は完璧なのに、第3章全体では正答率が6割を切っていた」という受講生がいました。(※個人情報保護のため一部設定を変更していますが、実際の講座での事例です)原因は漢方・生薬の得点がほぼゼロだったことです。

Bタイプ:全体を流し読みして、どこも定着していない

テキストを一通り読んだものの、過去問を解くと思い出せない。焦って再読しても、また同じことになる。このサイクルに入ると学習効率が急激に落ちます。

共通するのは「優先順位の欠如」です。限られた時間の中でどのカテゴリに何割の学習時間を充てるかを決めていないと、結果的にどこも中途半端になります。

攻略の核心:「第2章を先に仕上げる」という逆算思考

多くの受験生が第1章から順番に学ぼうとしますが、受験指導の経験から第2章「人体の働きと医薬品」を先に学ぶことが第3章攻略の前提だと考えています。

少し想像してみてください。「アドレナリン作動成分は血管収縮と気管支拡張に作用する」という記述を、交感神経・副交感神経の仕組みを知らずに覚えようとしたらどうなるでしょうか。意味のない文字列として暗記するしかなくなります。

一方で第2章で自律神経系の基礎を理解してから第3章に入ると、「なぜこの成分がこのように作用するのか」が理解として入ってきます。理解を伴った記憶は試験直前の追い込みで一気に定着します。

第2章 → 第3章 → 第4章 → 第1章 → 第5章という順序が多くの受験指導の専門家から推奨される理由はここにあります。

カテゴリ別・第3章攻略の優先マップ

第3章のカテゴリは多岐にわたります。学習時間の配分を最適化するために、優先度を三段階に分けて整理します。

第3章 カテゴリ別学習優先度マップ

優先度対象カテゴリ攻略のポイント・特徴
最優先
(得点源)
かぜ薬・解熱鎮痛薬
アレルギー用薬・鼻炎薬
出題頻度が最大。「15歳未満禁忌」や「抗コリン作用」など他分野と横断的に絡む成分をセットで覚える。
次点優先
(安定確保)
胃腸薬全般
外用薬(皮膚・眼・鼻)
高コレステロール改善薬
出題数が安定。内服薬で学んだ成分が外用薬でどう使われるか「剤形の違い」を意識して復習する。
戦略的学習漢方処方製剤
生薬成分
近年出題が増加傾向。丸暗記を避け「体力の目安(虚・実)」と「特徴的な適応症キーワード」で判別する。

※補足:学習初期は「最優先」カテゴリの完全理解に時間を投資してください。


【最優先】出題頻度が高く、得点に直結するカテゴリ

かぜ薬・解熱鎮痛薬は第3章の中で最も出題頻度が高い領域です。配合成分が多く複雑ですが、他のカテゴリとの横断学習が起きやすいためここを押さえると後半の学習効率も上がります。

主要な解熱鎮痛成分の禁忌(使用してはいけない人)比較

成分名15歳未満の小児妊婦(出産予定日12週以内)その他の重大な特徴
アスピリン
(アスピリンアルミニウム)
× 使用不可× 使用不可胃腸障害を起こしやすい。血液を凝固しにくくする作用あり。
イブプロフェン× 使用不可× 使用不可全身性エリテマトーデス等で無菌性髄膜炎のリスクあり。
エテンザミド
サリチルアミド
△ 水痘・インフルエンザ時は避ける「相談すること」に該当痛みが神経を伝わるのを抑える働きが強い(ACE処方等で配合)。
アセトアミノフェン○ 使用可能な製品あり「相談すること」に該当抗炎症作用はほぼないが、胃腸障害が少ない。小児の解熱薬にも。

※出典:試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)第3章 / ※ライ症候群の発症リスク等に基づき整理

特に注意が必要なのは「15歳未満に禁忌な成分」と「特定条件下でのみ禁忌になる成分」の区別です。「してはいけないこと」の表現が問われる近年の出題傾向に対応するため、禁忌条件を正確に押さえましょう。

抗ヒスタミン成分(抗コリン作用との関係)も最優先です。アレルギー用薬・鼻炎薬・乗り物酔い防止薬・かぜ薬など複数のカテゴリで登場します。抗コリン作用による副作用(口渇・排尿困難・眠気)をセットで覚えることが横断得点の鍵です。

抗コリン作用による副作用と「相談すべき基礎疾患」の連動

主な成分例引き起こされる主な副作用「相談すること」に該当する人(理由)
抗ヒスタミン成分
(クロルフェニラミン等)
眠気、口渇、排尿困難、便秘前立腺肥大による排尿困難
(尿の貯留を招き悪化させるため)
抗コリン成分
(ロートエキス等)
目のかすみ、異常なまぶしさ、口渇、排尿困難緑内障の診断を受けた人
(眼圧が上昇し悪化させるため)

※補足:成分名ではなく「自律神経にどう作用するか」を理解すると、これらの禁忌・相談事項は自然に解けます。


【次点優先】出題数が安定しており、取りこぼせないカテゴリ

胃腸薬(制酸薬・健胃薬・消化薬・整腸薬・止瀉薬・瀉下薬)は出題が安定しています。成分の作用機序よりも「どのカテゴリの薬か」「禁忌条件は何か」を整理する方向で学ぶと効率的です。

高コレステロール改善薬では、令和7年4月の手引き改訂で脂質異常症の診断基準に変更がありました。「中性脂肪が空腹時150mg/dL以上」という記述に更新されています(厚生労働省「試験問題作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)」)。2026年度試験から出題範囲となるため、最新の手引きで確認しましょう。

外用薬(皮膚・眼・鼻・口腔)は内服薬で学んだ成分が再登場するカテゴリです。「同じ成分でも剤形が異なる」という観点で復習すると記憶が強化されます。


【戦略的に学ぶ】生薬・漢方薬

「漢方は捨てても大丈夫」という言葉を先輩から聞いたことがある方もいるかもしれません。しかし近年の出題傾向として、生薬・漢方薬に関する問題は増加しています。

特に北海道・東北ブロックや一部の首都圏ブロックでは、生薬・漢方薬の出題比重が高い年がありました。全問正解を目指す必要はありませんが、頻出の漢方薬については「体力の目安(虚証・実証)」と「主な適応症のキーワード」だけを押さえる方法が現実的です。

「葛根湯は体力中等度以上でかぜのひきはじめ」「麦門冬湯は咽頭の乾燥感とから咳」というように、全文を覚えるのではなくキーワードで引っかけられるようにする学習法が有効です。


試験直前に見返したい「第3章・頻出ポイントチェックリスト」

このセクションは試験直前期に繰り返し参照することを想定して構成しています。ブックマークして活用してください。

□ 解熱鎮痛成分の禁忌年齢・条件を正確に言えるか
アスピリン・イブプロフェン・アセトアミノフェンそれぞれの15歳未満や妊婦への対応の違いを確認する。

□ 抗ヒスタミン成分の副作用(抗コリン作用)を整理できているか
口渇・眠気・排尿困難・便秘は頻出。「相談すること」に含まれる基礎疾患(前立腺肥大・緑内障等)もセットで確認する。

□ コデインリン酸塩水和物の「12歳未満禁忌」を押さえているか
2019年の手引き改訂以降、鎮咳成分として重要な出題ポイントになっている。

□ 脂質異常症の診断基準の最新値を確認しているか
令和7年4月改訂で「中性脂肪が空腹時150mg/dL以上」に更新された。LDL140mg/dL以上・HDL40mg/dL未満もセットで確認する。

□ 「してはいけないこと」と「相談すること」の区別ができているか
近年の出題傾向として、どちらの区分かを問う問題が増えている。添付文書の表現との対応を整理する。

□ 主要な漢方薬の「体力の目安」と「主要な適応」を言えるか
葛根湯・麦門冬湯・小青竜湯・防風通聖散・大柴胡湯・当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・加味逍遙散の8処方は最低限押さえる。

□ 生薬成分の基原(動物・植物)を混同していないか
動物性生薬(センソ・ジャコウ・ゴオウ等)は「どの動物から」という観点で整理する。

□ 令和7年4月の手引き改訂内容を確認しているか
第3章では「痔は生活習慣病である」という記述が削除された。最新の手引きベースで学んでいるか確認する。


独学の限界と、対策講座を使う判断基準

採用側の立場からお伝えしたいことがあります。

私がこれまで面接してきた登録販売者の中で、試験を一度で通過した方と複数回受験した方の違いを見てきました。複数回受験した方のほとんどに共通していたのは「勉強量の不足」ではなく「勉強の方向性のズレ」でした。

第3章の成分名を全部覚えようとして時間が足りなくなる。どのカテゴリが出題されやすいかを把握しないまま本番に臨む。こうしたズレは独学では気づきにくいものです。

対策講座を選ぶ価値があるのは以下のような方です。

学習時間が限られており最短で合格ラインに到達したい方。過去問を解いてみたが、なぜ間違えているのかが分析できない方。漢方・生薬の得点率が特に低い方。「第3章だけ繰り返し勉強しているが、点数が上がらない」という方です。

試験対策講座は、いわばあなたの「合格への専属コーチ」のような存在です。闇雲に長距離を走るのではなく、ゴールへの無駄のない効率的なルートを教えてもらいながら練習できます。


採用側が見ている「第3章の理解度」という視点

採用面接で登録販売者候補者に「お客様から総合感冒薬と解熱鎮痛薬どちらを勧めるかと聞かれたら?」という質問をすることがあります。

「複数の症状があれば総合感冒薬が適している場合もある」と答えられる方は、第3章の内容を腹落ちして理解しています。一方「どちらでもよい」と答える方は、試験合格後も現場で使える実力が十分でないことが多いと感じています。

試験勉強で成分名を覚えることと、「なぜその成分が配合されているのか」を理解することは別物です。後者の視点を持って第3章を学ぶと、試験での正答率が上がるだけでなく採用後の現場力にも直結します。

合格の先へ:第3章が「武器」になる日のために

第3章の40問で高得点を取ることは、試験合格に直結するだけではありません。登録販売者として働き始めた後、お客様から薬の飲み合わせや子供への使用についての相談を受ける場面が来ます。そのとき第3章の知識が最前線で活きます。

現場で使える実力のある登録販売者は採用側から求められますし、店舗でのキャリアアップにもつながります。第3章を「試験のための暗記科目」ではなく「現場で使う専門知識」として学ぶ視点を持ったとき、学習のモチベーションは質的に変わります。

一歩踏み出した方へ伝えたいのは、第3章の壁は攻略できるということです。正しい順序と優先順位を知ることで、今の学習は大きく変わります。

FAQ

第3章の成分名が英語の羅列ばかりでどうしても覚えられません。どうすればいいですか?

成分名を丸暗記しようとするのは挫折の元です。まずは第2章の自律神経の仕組み(交感神経・副交感神経)を完璧に理解してください。そこが理解できると「だからこの成分は血管を収縮させるのか」「だから副作用に口渇が出るのか」が論理的につながり、ただの文字列だった成分名が意味のある知識に変わり、定着率が劇的に上がります。

独学で過去問を解いていますが、点数が伸び悩みます。どこが悪いか分析もできず不安です。

独学の最大の壁は「自分の弱点がどこか客観的に分析できないこと」にあります。第3章のような膨大な範囲では、出題傾向を分析し「捨てる部分・絶対取る部分」を見極めるプロの目線が必要です。どうしても点数が安定しない場合は、通信講座を活用して最短ルートに軌道修正するのも有効な戦略です。
👉 [登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較]

漢方・生薬は漢字ばかりで難しいです。捨てても合格できますか?

完全に「捨てる」のは危険です。近年は漢方・生薬の出題比率が上がっている地域もあります。ただし、すべての構成生薬を暗記する必要はありません。頻出の漢方薬(葛根湯や小青竜湯など)について、「体力(虚・実)の目安」と「特徴的な適応症のキーワード」の2点だけに絞って暗記すれば、本番のマークシートでは消去法で十分に正解を導き出せます。


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この記事を書いた人

大学講師として登録販売者試験講座を担当した経験を持つ。薬剤師と元大学講師としての目線で登録販売者試験に合格するための戦略を発信。

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