- 総合点7割に加え科目ごとの足切りがある
- 足切りラインは都道府県で3.5割か4割
- 苦手科目を無くす均等な底上げが合格の鍵
合計点は足りているのに不合格?その理由
「全体の7割は取れた気がするのに、なぜ不合格なのか。」
試験後にこう感じる受験生は少なくありません。登録販売者試験には、合計得点とは別に科目ごとの最低ラインが設けられています。この「足切り」を知らずに勉強を進めると、特定の科目を捨て科目にしてしまい、合計点が高くても不合格になるというケースが生まれます。
この記事では、足切りの仕組みと科目別の合格基準を正確に解説します。試験直前の確認にも活用してください。
登録販売者試験の合格基準:2つの条件を同時にクリアする
登録販売者試験に合格するためには、2つの条件を同時に満たす必要があります。
厚生労働省「登録販売者試験実施要領」によると、合格基準は次のように定められています。
条件① 総出題数に対して正答率が7割以上であること
試験は全120問・120点満点で実施されます。その7割にあたる84点以上が、全体の合格ラインです。
条件② 各試験項目ごとに都道府県知事が定める一定割合以上の正答であること
こちらが「足切り」と呼ばれる条件です。科目ごとに最低正答率が設定されており、1科目でもこれを下回ると不合格になります。
この2つの条件は「どちらか一方をクリアすれば良い」ものではありません。両方を同時に満たしてはじめて合格となります。
| 条件 | 基準内容 | 具体例(120点満点中) |
|---|---|---|
| 条件① 総合得点 | 全体の正答率が7割以上 | 84点以上を獲得する |
| 条件② 足切り | 各項目の正答率が都道府県の定める割合以上 | 全5科目で3.5割または4割以上を獲得する |
※出典:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」に基づく。両方の条件を同時に満たす必要があります。
足切りの仕組み:高得点でも1科目失敗で不合格になる
足切りとは、試験科目ごとに設けられた最低得点ラインのことです。
たとえば、1章から4章で満点に近い点数を取っていても、5章の正答率が足切りラインを下回れば不合格です。合計点が107点という高得点であっても、1科目の足切りにかかれば不合格になります。
登録販売者試験の勉強をしている友人の合格者から聞いた話ですが、「総合点は余裕があったのに、第4章の薬事法規で足を引っ張られた」という失敗談は試験対策の場でよく語られます。
この足切りの存在が、苦手科目を放置したまま受験するリスクを高めています。
5科目別の出題数と足切りライン
登録販売者試験は、以下の5つの試験項目で構成されています(出典:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」)。
第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
足切りライン:3.5割の場合は7問以上、4割の場合は8問以上が必要です。医薬品のリスクや副作用・適切な使用の基本が問われます。概念的な内容が多く暗記よりも理解が求められる科目です。比較的得点しやすい科目ですが、油断して後回しにすると足切りに引っかかるケースがあります。
第2章 人体の働きと医薬品(20問)
足切りライン:3.5割の場合は7問以上、4割の場合は8問以上が必要です。消化器・呼吸器・循環器など人体の各器官の構造と医薬品の作用機序が問われます。医療未経験者がつまずきやすい科目のひとつです。薬剤師として医薬品の専門知識を持つ立場から言うと、第2章の内容は他の科目の理解を深める土台になります。第2章を軽視すると、第3章の薬効理解にも支障をきたす可能性があります。
第3章 主な医薬品とその作用(40問)
足切りライン:3.5割の場合は14問以上、4割の場合は16問以上が必要です。5科目のなかで唯一40問配点と出題数が多く、かぜ薬・解熱鎮痛薬・消化薬など各医薬品成分の名称と作用が問われます。合否を左右するボリューム科目です。
第4章 薬事関係法規・制度(20問)
足切りライン:3.5割の場合は7問以上、4割の場合は8問以上が必要です。薬機法・医薬品の分類・販売制度などの法律知識が問われます。暗記が中心ですが、法改正への対応も必要です。医薬品の販売に直接関わるルールを問う科目であるため、実務上の重要性は非常に高いです。私が採用面接で確認するのも、この第4章の理解度であることが多くあります。
第5章 医薬品の適正使用・安全対策(20問)
足切りライン:3.5割の場合は7問以上、4割の場合は8問以上が必要です。添付文書の読み方・副作用報告制度・安全対策が問われます。実務に直結する内容であり、就職後にも役立つ知識が詰まっています。
| 試験科目 | 出題数 | 足切り(3.5割の場合) | 足切り(4割の場合) |
|---|---|---|---|
| 第1章:医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 | 7問以上 | 8問以上 |
| 第2章:人体の働きと医薬品 | 20問 | 7問以上 | 8問以上 |
| 第3章:主な医薬品とその作用 | 40問 | 14問以上 | 16問以上 |
| 第4章:薬事関係法規・制度 | 20問 | 7問以上 | 8問以上 |
| 第5章:医薬品の適正使用・安全対策 | 20問 | 7問以上 | 8問以上 |
※注記:足切り基準が3.5割か4割かは都道府県ごとに発表されます。受験地の最新情報を必ず確認してください。
足切りラインは都道府県によって異なる
足切りの基準は3.5割(35%)か4割(40%)かで都道府県ごとに異なります。
受験を予定している都道府県の合格基準は、必ず試験前に公式ページで確認してください。たとえば令和6年度の試験では、岐阜県は各項目3.5割以上、東京都は各項目3.5割以上と公式発表されています(各都道府県公式ホームページより)。
試験全体の合格率も地域差があります。令和6年度の登録販売者試験実施状況(厚生労働省公表)によると、北海道の合格率は62.3%、東京都は45.8%でした。地域によって問題の難易度や採点基準に差が生じているため、受験地の情報収集が戦略の基本となります。
関連記事:登録販売者試験の都道府県別合格率と受験地の選び方
講師として見た「足切りで落ちる受験生」の共通点
大学の登録販売者試験対策講座で受講生を指導していると、足切りにかかる受験生にはいくつかの共通パターンがあります。
最も多いのが、第3章の暗記に集中しすぎて第2章と第4章の勉強が手薄になるケースです。第3章は出題数が40問と多いため、そこに時間を投入するのは理解できます。しかし結果として第2章や第4章の正答率が足切りラインを割り込み、合計点は高いのに不合格という事態が起きます。
私が講座で指導してきた範囲でも、「第3章は自信があったのに第2章で足をすくわれた」という声は珍しくありません。
足切り対策の本質は、全科目を均等に底上げすることです。得意科目で高得点を狙うよりも、苦手科目の足切りラインを超えることを優先してください。
採用する側として評価する「合格プロセスの質」
調剤薬局チェーンの人事部長として登録販売者の採用に関わってきた立場から、一点お伝えしたいことがあります。
採用面接では「どの科目が得意で、どこを苦手としていたか」を尋ねることがあります。全科目をバランスよく学習して合格した人と、特定科目を捨てて運よく合格した人では、実務対応力に明確な差が出るからです。
登録販売者は医薬品の専門知識を持ってお客様に対応する職種です。第2章の人体知識が欠ければ副作用の説明に支障をきたし、第4章の法規知識が抜けていれば販売制度の理解が危うくなります。
合格することがゴールではなく、合格後に即戦力として働けるだけの知識を身につけることが採用側の評価基準です。全科目をしっかり学ぶことは、試験対策と実務準備を同時に進めることにほかなりません。
関連記事:登録販売者の採用面接で評価されるポイントとは
足切りリスクを下げる学習戦略
足切り対策として、私が講座で実践してきた学習アプローチをご紹介します。
ステップ① 科目別の現状把握から始める
まず過去問を1回分解いて、科目ごとの正答率を計算してください。全体点数ではなく科目別の数字を出すことで、足切りリスクのある科目が明確になります。
ステップ② 足切りラインを超えるまで苦手科目を優先する
全体の得点アップより先に、足切りラインを割っている科目の底上げを優先してください。目安として各科目の正答率が5割を超えるまでは苦手科目集中モードで進めることをお勧めします。
ステップ③ 第3章は計画的に時間を投入する
第3章は出題数が40問と多く、覚えるべき成分名も膨大です。週次で学習範囲を区切りコツコツと積み上げる計画を立てることが重要です。一気に詰め込もうとすると記憶の定着率が下がります。
| ステップ | 目的 | 具体的なアクション |
|---|---|---|
| STEP 1 | 現状の可視化 | 過去問を1回分解き、総合点ではなく「科目別の正答率」を算出して弱点を特定する。 |
| STEP 2 | 苦手科目の底上げ | 全科目の正答率が安定して5割を超えるまで、最も点数の低い科目を集中的に学習する。 |
| STEP 3 | 第3章の計画的攻略 | 配点の高い第3章は、一夜漬けを避け、週ごとに成分の範囲を決めてコツコツ暗記する。 |
※注記:得意科目を伸ばすより、苦手科目の足切りライン突破を最優先にスケジュールを組みましょう。
通信講座が足切り対策に向いている理由
足切り対策において、通信講座には独学にない強みがあります。
独学では、どの科目にどれだけ時間を使うべきかの配分判断を自分で行う必要があります。しかし試験対策の経験が少ない受験生が科目ごとの重要度を正確に判断するのは難しく、気づけば得意科目ばかり勉強していたという状況になりがちです。
通信講座は科目ごとのカリキュラムが整備されており、足切りリスクのある科目に適切な学習量を割り当てる設計になっています。また、模擬試験や演習問題で科目別の弱点を可視化できるため、足切り対策を効率的に進められます。
関連記事:登録販売者試験の通信講座比較|SMART合格講座・スタディングを徹底検証
試験は年に1回の実施です。来年の試験まで1年待つという時間的コストを考えれば、通信講座への投資は合理的な選択です。
足切りを理解してから対策を立てる受験生だけが合格に近づく
登録販売者試験の合格基準は、総合点7割以上と科目別足切りクリアの2条件同時達成です。どちらか一方では合格できません。
足切りラインは都道府県によって3.5割か4割かが異なります。受験地の公式情報を必ず確認したうえで、全5科目をバランスよく学習する戦略を取ることが最もリスクの低い受験準備です。
特定の科目を捨てる戦略は、合計点が足りる場合でも足切りという形で合格を阻みます。苦手な科目こそ、早い段階から手をつけてください。
令和6年度の全国合格率は都道府県によって大きく差があります(厚生労働省「令和6年度登録販売者試験実施状況」より)。合否を分けるのは難易度だけでなく、足切り対策を含めた科目バランスの取れた準備です。
今日この記事で足切りの仕組みを理解できたなら、次のステップは自分の科目別弱点を把握することです。まずは過去問を1回分解いて、科目ごとの正答率を確認するところから始めてみてください。
FAQ
- 合計点が合格ラインの84点を超えていれば、1科目だけ0点でも合格できますか?
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いいえ、不合格になります。登録販売者試験は「全体の正答率7割以上」という条件に加え、各科目で「都道府県が定める足切りライン(3.5割または4割)」をすべて超える必要があります。1科目でも足切りを下回ると、合計点がどれほど高くても合格できません。
- 足切りラインは全国共通ですか?
-
いいえ、都道府県によって異なります。厚生労働省のガイドラインに基づき、各都道府県知事が「3.5割以上」または「4割以上」のいずれかを設定しています。自分が受験する自治体の試験案内を必ず確認してください。
- 苦手科目の足切りを回避するにはどう勉強すればいいですか?
-
まずは過去問を解いて科目別の正答率を出し、足切りラインを下回っている科目を優先的に学習して「全科目5割以上」を安定させるのが基本です。独学で学習ペースの配分が難しい場合は、カリキュラムが整備された通信講座の活用がおすすめです。登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較では、弱点克服や科目バランスの取れた学習に強い講座を紹介しています。
