- 脂溶性・水溶性ビタミンの頻出ポイントがわかる
- 生薬成分は漢字と効能のセットで確実に覚える
- 丸暗記を避けた体系的学習で合格率と実務力がUP
成分名の多さに圧倒されていませんか
「チアミン、リボフラビン、ピリドキシン…全部同じに見える」
滋養強壮保健薬の章を開いた瞬間、そう感じた受験生は多いはずです。ビタミンの化合物名に加えて、生薬のカタカナ名と漢字が混在するこの範囲は、整理せずに丸暗記しようとすると確実に詰まります。私が大学の対策講座で受講生を指導していた際、「第3章の成分名が覚えられない」という悩みは最も頻繁に寄せられていたものでした。
この記事では、薬剤師として医薬品知識に携わり、大学講師と採用担当の両方の立場からこの範囲を見てきた経験をもとに、試験に出るポイントだけを整理した覚え方を解説します。試験直前に読み返せる内容として構成していますので、ブックマークしておくことをおすすめします。
第3章40問を落とさないための戦略的な視点
まず、試験全体における滋養強壮保健薬の位置づけを確認しておきましょう。
登録販売者試験は全120問で構成されており、そのうち第3章「主な医薬品とその作用」だけで40問を占めます。全体の約3分の1が第3章から出題される計算です。(出典:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」)
合格基準は、総合得点で7割以上(84点以上)を獲得したうえで、各項目ごとに一定割合以上の正答が必要です。第3章が最多出題であることを考えると、苦手なままにしておくことは合格戦略として大きなリスクになります。
その第3章の中でも、滋養強壮保健薬は「成分の種類が多い」「欠乏症とセットで問われる」「生薬は基原まで問われる」という三つの難しさが重なる分野です。しかし体系的に整理さえすれば、安定した得点源にできます。
採用面接をしていた際、「医薬品成分の特徴を整理するのが得意です」と自信を持って言える方は、現場配属への安心感がありました。実際にOTCを販売するシーンでは、お客様から「このビタミン剤とあっちの栄養ドリンク、何が違うの?」と聞かれる機会が山のようにあります。
ただ名前を暗記しているだけの人と、ビタミンや生薬の「働き(成分の性質)」を体系的に理解している人とでは、接客の説得力が桁違いだからです。試験のための勉強を、現場の接客力に直結させる意識で学んでみてください。
最初に押さえる「脂溶性と水溶性」の区分
ビタミンを学ぶ際に最初に問われるのが、脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの区分です。
脂溶性ビタミンはD・A・K・Eの4種類です。語呂合わせとして「ビタミンだけ(DAKE)」と覚えると瞬時に答えられます。脂溶性は体内に蓄積されるため過剰症も問われますが、水溶性は余剰分が尿で排泄されるため試験では主に欠乏症が問われます。この出題の方向性の違いを意識しておくだけで、問題の読み方が変わります。
| 分類 | ビタミンの種類 | 試験での狙われポイント |
|---|---|---|
| 脂溶性 | D・A・K・E(ダケ) | 体内に蓄積されるため「過剰症」が問われやすい(例:妊婦のビタミンA過剰摂取による胎児への影響) |
| 水溶性 | B群・C | 尿として排泄されるため主に「欠乏症」が問われる(例:ビタミンB1欠乏=脚気) |
脂溶性ビタミン4種の成分名と出題ポイント
ビタミンA
レチノール・酢酸レチノール・パルミチン酸レチノールが主薬製剤に配合される代表的な成分名です。
欠乏すると夜盲症(いわゆるとり目)を引き起こします。皮膚や粘膜の健康維持・免疫機能の維持にも関与します。
脂溶性ビタミンの中でも、ビタミンAは過剰摂取の影響が特に問われやすい成分です。妊婦が過剰摂取した場合に胎児への影響が懸念される点を必ず押さえておいてください。
ビタミンD
エルゴカルシフェロール・コレカルシフェロールが代表的な成分名です。
欠乏するとくる病(骨や歯の発育不良)を引き起こします。カルシウムの腸管吸収を促進する働きがあります。「エルゴカルシフェロール→くる病の予防」という組み合わせは過去問にも登場しています。
ビタミンE
トコフェロール(酢酸トコフェロール等)が主薬です。
血行促進・抗酸化作用を持つ成分として位置づけられており、末梢血管の血行不良による肩こり・手足の冷えの改善に使われます。
水溶性ビタミンは「成分名と欠乏症のペア暗記」が鉄則
水溶性ビタミンの学習では、成分名(化合物名)と欠乏症を1セットで覚えることが最重要です。問題文で「ビタミンB1」と書かれず「チアミン」と記述されるケースがあります。
ビタミンB1
チアミン塩化物塩酸塩・チアミン硝化物・ビスチアミン硝酸塩等が配合成分です。
欠乏すると脚気を引き起こします。炭水化物からのエネルギー産生に不可欠な栄養素で、神経の正常な働きを維持する作用や腸管運動を促進する作用があります。「チアミン=ビタミンB1=脚気」というセットは最頻出の組み合わせです。
ビタミンB2
リボフラビン・リボフラビン酪酸エステルが代表的な成分です。
欠乏すると口内炎・口角炎・舌炎・皮膚炎といった症状が現れます。肌荒れ対策として美容目的でも利用される成分です。「リボフラビン=ビタミンB2」という紐づけを確実にしておきましょう。
ビタミンB6
ピリドキシン塩酸塩が代表的な成分名です。
皮膚や粘膜の健康維持・神経機能の維持に働きます。赤血球の血色素であるヘモグロビンの合成にも関与するため、貧血との関連も問われることがあります。
ビタミンB12
シアノコバラミン・ヒドロキソコバラミン塩酸塩・メコバラミンが主な成分です。
欠乏すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。赤血球の形成を助け、神経機能を正常に保つ働きがあります。胃腺から出る粘液に含まれる成分(内因子)が不足すると吸収されにくくなる点も、試験で問われることがあります。
ビタミンC
アスコルビン酸が代表的な成分名です。歯ぐきからの出血・鼻血の予防や、しみ・そばかすの緩和に用いられます。コラーゲンの生合成を助け、しみ・そばかすの改善にも用いられます。
また、ヘスペリジンはビタミン様物質のひとつで、「ビタミンCの吸収を助ける」等の作用があるとされています。ビタミンC本体とヘスペリジンは別物であることを意識してください。
(出典:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」ⅩⅢ 滋養強壮保健薬)
| ビタミン名 | 代表的な成分名 | 欠乏症・主な働き |
|---|---|---|
| ビタミンB1 | チアミン〜 | 脚気 / 炭水化物からのエネルギー産生、神経機能維持 |
| ビタミンB2 | リボフラビン〜 | 口内炎・口角炎・舌炎 / 脂質代謝、皮膚・粘膜の維持 |
| ビタミンB6 | ピリドキシン〜 | タンパク質代謝 / 神経機能・皮膚粘膜の維持 |
| ビタミンB12 | 〜コバラミン | 悪性貧血(巨赤芽球性貧血) / 赤血球の形成 |
| ビタミンC | アスコルビン酸 | 壊血病 / メラニン産生抑制、出血予防、抗酸化作用 |
見落とされがちな「その他の重要成分」を整理する
ビタミン以外にも、滋養強壮保健薬には試験で頻出の成分が複数あります。
グルクロノラクトンは、肝臓の働きを助け肝血流を促進する成分です。全身倦怠感の回復を目的として配合され、栄養ドリンクでもおなじみの成分です。コンドロイチン硫酸ナトリウムは軟骨組織の主成分で、関節痛や筋肉痛の改善を目的としてビタミンB1等と組み合わせて配合されます。
ガンマ-オリザノールは米油及び米胚芽油から見出された抗酸化作用を示す成分で、「米油由来」というキーワードで覚えておくと問題文で迷いません。システインは肝臓においてアルコールを分解する酵素の働きを助け、アセトアルデヒドの代謝促進に寄与します。アスパラギン酸ナトリウムはアミノ酸の一種で、全身倦怠感の改善を目的として配合されます。
生薬成分の覚え方|「漢字」で基原を視覚化する
生薬成分の学習では、カタカナと漢字を結びつけることが最も効率的な記憶法です。
ニンジン(人参)・コウジン(紅参)
ウコギ科のオタネニンジンの細根を除いた根が基原です。別名を高麗人参・朝鮮人参ともいいます。
神経系の興奮や副腎皮質の機能亢進等の作用により、外界からのストレス刺激に対する抵抗力や新陳代謝を高めるとされます。コウジンはニンジン(オタネニンジン)の根を蒸したもので、同様の作用が期待されます。ニンジンは強心薬・かぜ薬・小児鎮静薬など複数の薬効区分に登場する点に注意が必要です。
ロクジョウ(鹿茸)
シカ科の雄鹿のまだ角化していない幼角が基原です。
強壮・血行促進などの作用を期待して用いられます。強心薬にも関連して登場する動物性生薬の代表格です。
インヨウカク(淫羊藿)
メギ科のイカリソウ(蕾を含む葉及び茎)が基原です。
強壮・血行促進・強精(性機能の亢進)等の作用を期待して用いられます。ハンピと並んで「強精作用」が問われる代表的な生薬です。
ハンピ(反鼻)
ニホンマムシ等の皮及び内臓を取り除いたものを基原とする生薬です。
強壮・血行促進・強精等の作用を期待して用いられます。
ヨクイニン(薏苡仁)
イネ科のハトムギの種皮を除いた種子が基原です。
肌荒れやいぼに用いられます。ビタミンB2主薬製剤・ビタミンB6主薬製剤・瀉下薬等の補助成分として配合されることもある点が問われやすいポイントです。
| 生薬名(漢字) | 基原(由来) | 期待される主な作用 |
|---|---|---|
| ニンジン(人参) | ウコギ科オタネニンジンの根 | 抗ストレス、新陳代謝UP(※コウジンはこれを蒸したもの) |
| ロクジョウ(鹿茸) | シカ科雄鹿の幼角(動物性) | 強壮、血行促進(強心薬にも頻出) |
| ハンピ(反鼻) | マムシ等の皮・内臓を除いたもの(動物性) | 強壮、強精、血行促進 |
| インヨウカク(淫羊藿) | メギ科イカリソウの地上部 | 強壮、強精、血行促進 |
| ヨクイニン(薏苡仁) | イネ科ハトムギの種子 | 肌荒れ、いぼの改善 |
頻出の「生薬主薬保健薬の4成分セット」を覚える
試験で繰り返し出題されるポイントとして、以下の組み合わせを覚えておいてください。
ニンジン・ジオウ・トウキ・センキュウが既定値以上配合されている生薬主薬保健薬には、虚弱体質・肉体疲労・病中病後の滋養強壮だけでなく、胃腸虚弱・食欲不振・血色不良・冷え症における滋養強壮の効能も認められています。(出典:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」ⅩⅢ 滋養強壮保健薬)
「ニンジン・ジオウ・トウキ・センキュウ=4成分セット」という組み合わせごと記憶してください。
また、数種類の生薬をアルコールで抽出した薬用酒も滋養強壮を目的として用いられます。血行促進作用があるため出血しやすい人への禁忌と、服用後の乗り物・機械類の操作不可という注意事項も押さえておく必要があります。
「医薬品か医薬部外品か」の区分も狙われる
見落とされがちながら、試験で確実に問われるポイントがあります。
医薬部外品の保健薬は、効能効果の範囲が「滋養強壮・虚弱体質の改善・病中病後の栄養補給等」に限定されています。一方、神経痛・筋肉痛・関節痛・しみ・そばかす等の特定部位の症状に対する効能効果は、医薬品においてのみ認められています。
また、カシュウ・ゴオウ・ゴミシ・ジオウ・ロクジョウ等の生薬成分も医薬品においてのみ配合が認められています。この区分は過去問で繰り返し出題されているポイントであり、直前期にも必ず確認してほしい内容です。
(出典:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」ⅩⅢ 滋養強壮保健薬)
試験直前に使う確認リスト
試験当日、このページを開いたとき以下の項目が即答できるか確認してください。
脂溶性ビタミンが「DAKE(D・A・K・E)」の4種であること。ビタミンB1の欠乏症が「脚気」で成分名が「チアミン」であること。ビタミンB12の欠乏症が「巨赤芽球性貧血」で代表成分が「シアノコバラミン」であること。ビタミンCの欠乏症が「壊血病」で成分名が「アスコルビン酸」であること。
生薬では、ロクジョウが「マンシュウアカジカ等の幼角」、ヨクイニンが「イネ科のハトムギの種子」、ハンピが「マムシを基原とした強壮・強精作用の生薬」であること。そして生薬主薬保健薬の4成分セットが「ニンジン・ジオウ・トウキ・センキュウ」であることを即答できれば、この範囲の核心は押さえられています。
体系的な学習が「速さ」を生む
滋養強壮保健薬の成分問題は、知識が整理された受験生にとっては安定した得点源になりやすい問題です。しかし独学で手当たり次第に暗記しようとすると、後で「あれはどの分類だったか」という混乱が起きやすくなります。
採用面接を担当してきた経験から感じるのは、知識の体系化ができている登録販売者ほど現場で応用が利くということです。試験勉強の段階から体系化を意識することは、合格後の実務にもそのまま直結します。
自己流の暗記で「点と点」の知識を増やすより、通信講座のカリキュラムに沿って「線と面」で体系的に学ぶほうが、結果的に圧倒的な時短になります。第3章の40問を確実な得点源にし、現場で活躍できる本物の知識を身につけるために、プロが整理した講座の活用をぜひ検討してみてください。
知識が「反射」になるまで繰り返す価値がある
この記事で整理したビタミンと生薬の知識は、試験会場で問題文を読んだ瞬間に答えが浮かぶ「反射の域」まで高めることが理想です。
「チアミン」という文字を見た瞬間にビタミンB1と脚気が浮かぶ状態、「ロクジョウ」という名前を見た瞬間に鹿の幼角と強壮作用が結びつく状態、これが試験本番で時間を余らせて確認作業に使える知識の質です。
成分名の暗記は確かに地味な作業です。しかしその反復を経た受験生だけが、本番で冷静に問題を解く余力を持てます。焦らず、この記事で整理したポイントを繰り返し確認してください。あなたの合格を支える知識の柱として、この内容が役立てば幸いです。
(参考情報)本記事の主要情報源
- 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」ⅩⅢ 滋養強壮保健薬
- 厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」
FAQ
- 滋養強壮保健薬の成分名がどうしても覚えられません。コツはありますか?
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丸暗記をやめることが最大のコツです。たとえばビタミンなら「脂溶性か水溶性か」で出題されるトラブル(過剰症か欠乏症か)が違います。生薬ならカタカナだけでなく「漢字(人参、鹿茸など)」と紐づけて、何からできているかをイメージすると、一気に頭に入りやすくなります。
- 独学で第3章を勉強していますが、範囲が広すぎて挫折しそうです。
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第3章は全120問中40問を占める最重要項目なので、ここでつまずくと合格が遠のいてしまいます。独学で「点と点の暗記」に限界を感じているなら、プロのカリキュラムで「線と面の理解」に変えるのが最短ルートです。効率よく学ぶなら通信講座の活用も一つの手です。詳しくは登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較をご覧ください。
- 医薬品の保健薬と、医薬部外品の保健薬はどう見分ければいいですか?
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「効能・効果の範囲」と「配合できる成分」が違います。医薬部外品は「滋養強壮、虚弱体質、栄養補給」などに限定されていますが、医薬品は「神経痛、関節痛、しみ」といった具体的な部位の症状改善を標榜できます。また、ロクジョウなどの一部の生薬は医薬品にしか配合できません。
