第5章「医薬品の適正使用と安全対策」攻略法|他章との関連で得点

【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • 第5章は第3章の知識と紐づけて攻略する
  • 副作用報告や救済制度は流れで理解する
  • 暗記の優先順位をつけて足切りを回避する

※試験制度や出題手引きの改訂内容は、厚生労働省の公式発表を随時ご確認ください。

目次

「第5章は後回し」が不合格への近道です

第5章は、暗記が多くてとっつきにくい。

そう感じて、直前期まで後回しにしていませんか?

しかし、第5章を後回しにしたまま本番を迎えた受験生が足切りに引っかかるケースは少なくないように感じます。全体得点が70%を超えていても、1科目でも基準点を下回れば即不合格になる試験構造を甘く見すぎているのです。

一方で、第5章を「他章との接続点」として正しく学んだ受験生は、学習効率が大きく上がります。覚えるべき内容が整理され、第3章の知識が第5章の得点に直結するという感覚を持てるからです。

この記事では、薬剤師として医薬品の専門知識を持ち、登録販売者試験対策講座の講師として受験生を指導してきた立場から、第5章の攻略戦略を体系的にお伝えします。

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第5章の全体像を把握する

まず試験全体の構造を確認します。

厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に基づき、登録販売者試験は以下の5章・合計120問で構成されています。

  • 第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問)
  • 第2章 人体の働きと医薬品(20問)
  • 第3章 主な医薬品とその作用(40問)
  • 第4章 薬事に関する法規と制度(20問)
  • 第5章 医薬品の適正使用・安全対策(20問)

試験時間は合計240分です。合格基準は全体で70%以上(84問以上)の正答かつ各科目で35〜40%以上の正答率です(出典:厚生労働省「登録販売者試験問題作成に関する手引き」)。

第5章の出題数は20問で全体の約17%を占めます。合格ラインの84点に到達するためには、第5章でも14点前後は確保したいところです。足切りラインを意識すると、20問中8問正答(40%)が最低ラインになります。

「たった20問」と思うかもしれませんが、1問の重みは第3章と変わりません。足切りリスクを抱えたまま本番に向かうのは、戦略として大きな損失です。


第5章で問われる3つの柱

第5章の出題内容は、大きく3つの柱で構成されています。

【柱①】添付文書の読み方と記載項目

一般用医薬品の添付文書には、改訂年月・使用上の注意・製造販売業者の名称及び所在地など、法律で定められた記載事項があります。近年の出題傾向として、「使用上の注意」の記載内容から成分知識を問う問題が増加しています

「使用上の注意に○○成分を含む医薬品として正しいものはどれか」という出題形式は、まさに第3章で学んだ成分の知識が直接問われる形です。第3章を丁寧に学んだ受験生ほど、この問題で正解を取れます。

【柱②】副作用報告制度と安全対策

医薬品・医療機器等安全性情報報告制度(いわゆる副作用報告制度)の仕組みや、報告の主体・期限・対象などが問われます。企業から報告する義務と、医療関係者が報告する制度の違いを区別することが重要です。

比較項目製造販売業者等(企業)からの報告医薬関係者(登録販売者等)からの報告
報告の義務法的義務(薬機法第68条の10第1項)法的義務(保健衛生上の危害拡大防止のため)
報告の期限15日以内、または30日以内(重篤度等による)期限の定めなし(適宜速やかに報告)
報告先総合機構(PMDA)へ提出総合機構(PMDA)へ提出

※出典:厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」をもとに作成

【柱③】被害救済制度(医薬品副作用被害救済制度)

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する副作用被害救済の制度です。給付の種類(医療費・医療手当・障害年金・遺族年金など)と、給付対象にならないケース(がん治療薬等)をセットで覚えることが求められます。

給付の種類給付の目的・対象請求の期限
医療費・医療手当副作用による疾病の治療費等(入院を要する程度)実費支払いが行われた時(医療手当は該当月の翌月初日)から5年以内
障害年金・障害児養育年金日常生活に著しい制限を受ける程度の障害が残った場合請求期限なし
遺族年金・遺族一時金・葬祭料生計維持者等の死亡、および葬祭にかかる費用死亡の時から5年以内(※例外あり)

※補足:不適正な使用による健康被害や、殺虫剤・一般用検査薬などは給付の対象外となります。


【最重要】第3章との関連を活かす学習設計

記載されるケース対象となる主な成分(第3章の知識)理由・リスク
15歳未満の小児アスピリン、イブプロフェン等ライ症候群の発症リスク等があるため
喘息を起こしたことがある人解熱鎮痛成分全般(アセトアミノフェン含む)アスピリン喘息を誘発するおそれがあるため
乗物や機械類の運転操作をしない抗ヒスタミン成分、抗コリン成分等眠気や目のかすみ、異常なまぶしさを生じるため

※補足:第3章で成分の特性を理解していれば、第5章のこの項目は暗記不要で解答できます。

私が伝えたいのが、「第5章は第3章の上位互換として学べ」という視点です。

具体的に考えてみてください。

添付文書の「してはいけないこと」欄に記載される成分名は、第3章で学んだ成分そのものです。たとえばアスピリンが「15歳未満の小児への使用禁忌」として添付文書に記載される理由は、ライ症候群のリスクと結びついています。第3章でアスピリンの特性を学んでいれば、第5章の添付文書問題は自然に解けます。

逆に言えば、第3章を疎かにしたまま第5章を単独で暗記しようとすると、覚える量が膨大に感じてしまいます。第5章の学習に入る前に、第3章で主要成分の副作用・禁忌・相互作用を整理しておくことが、得点最大化の王道です。

友人の合格者から聞いた話では、「第5章を勉強し始めたら第3章の復習になった」という感覚を持てた時点で、合格の手応えを感じられたとのことでした。


第1章・第2章との接続ポイント

第5章と第3章だけが関連しているわけではありません。

第1章との接続

第1章では、薬害訴訟の歴史(サリドマイド・スモン・HIV・CJDなど)を学びます。これらの被害が後の医薬品副作用被害救済制度の設立につながった歴史的文脈を、第5章の制度解説と組み合わせて理解することで、制度の「なぜ」が腹落ちします。制度の名称や給付対象を丸暗記するより、背景と連動させた学習のほうが記憶定着率は格段に上がります。

第2章との接続

第2章では、各器官の構造や薬の吸収・分布・代謝・排泄(ADME)の仕組みを学びます。この知識は、添付文書の「相互作用」「保管方法」「用法用量」に関する問題の理解を深めます。

「なぜこの薬は食後に服用するのか」「なぜ腎臓病患者には慎重投与が必要か」という問いに対して、第2章の薬物動態の知識で答えを導ける場面が、第5章の設問に繰り返し登場します。


直前期チェックリスト:第5章の頻出テーマ

試験直前に手元に置いておける形で、第5章の頻出テーマをまとめます。

✅ 添付文書関連

  • 添付文書の法定記載事項(改訂年月の記載位置と意味)
  • 「してはいけないこと」欄に記載される成分と理由(アスピリン・イブプロフェンなど)
  • 「相談すること」欄と「してはいけないこと」欄の違い
  • 保管・取扱い上の注意(湿気・光・子供の手の届かない場所など)
  • 緊急安全性情報(ドクターレター)と安全性速報(ブルーレター)の違い

✅ 副作用報告制度関連

  • 医薬品・医療機器等安全性情報報告制度の報告主体(薬局開設者・店舗販売業者など)
  • 報告期間の区分(15日以内・30日以内
  • 企業からの報告と医療機関・薬局からの報告の違い

✅ 被害救済制度(PMDA)関連

  • 給付の種類(医療費・医療手当・障害年金・遺族年金・遺族一時金・葬祭料
  • 給付対象にならないケース(殺虫剤・殺鼠剤、殺菌消毒剤、一般用検査薬等)
  • 救済給付の請求先(PMDAへ直接請求)
  • 請求権の消滅時効

✅ その他の安全対策

  • ダイレクトOTC医薬品の再審査制度(スイッチOTC医薬品は製造販売後の安全性調査)
  • 総合機構(PMDA)ホームページの役割と情報提供の仕組み
  • 副作用情報評価・指導(市販後安全対策)の流れ

採用側が見る「第5章の知識」の実務的意味

これは講師としてではなく、採用側の視点からお伝えしたい内容です。

試験では被害救済制度の給付種別を覚えているかどうかが問われますが、現場では「副作用が疑われたときにPMDAへ報告する経路と手順を知っているか」が直結する知識です。第5章の内容は、試験対策のための暗記事項であるとともに、現場で登録販売者として安全に業務を行うための基礎知識でもあります。

「合格してからも役立つ知識」として学ぶ視点を持てると、暗記への抵抗感が下がります。


学習ロードマップ:第5章をどの順番で取り組むか

試験対策として、以下の順番で第5章に取り組むことをお勧めします。

ステップ① 第1章・第3章を先に固める

第5章に入る前に、第1章の薬害歴史と第3章の主要成分(副作用・禁忌・相互作用)を整理しておきます。特に第3章では、アセトアミノフェン・アスピリン・イブプロフェン・イソプロピルアンチピリンなど解熱鎮痛成分の使用禁忌を確認してください。

ステップ② 添付文書の「使用上の注意」を成分と紐づけて覚える

単に記載事項を暗記するのではなく、「なぜその成分がその欄に記載されるのか」という理由とセットで覚えます。理由が分かると記憶定着が大幅に改善します。

ステップ③ 制度系の知識を「流れ」で理解する

副作用が発生する→報告制度で収集・評価される→被害があれば救済制度が発動する、という一連の流れを体系的に把握することで、個別の知識が有機的につながります。

ステップ④ 過去問で出題パターンを確認する

第5章は毎年似通った問題が多い傾向があります(参考:医薬品登録販売者DX)。過去問を複数年分解くことで、頻出のひっかけポイントが見えてきます。


通信・オンライン講座を選ぶ際に第5章で確認すべき点

独学で第5章を学ぶと、制度系の知識の「どこが試験に出やすいか」という優先度がつかみにくいという問題があります。独学の場合、この「優先順位づけ」に多くの時間を取られてしまう傾向があります。

試験対策講座を検討する際は、以下の点を確認してみてください。まず第5章の解説が単独でまとまっているかです。他章と断片的に混ざった教材は、第5章の全体像をつかむのに余計な時間がかかります。次に、添付文書の読み方が実例付きで解説されているかです。条文を丸暗記させるだけの教材と、実際の添付文書を使った解説では学習効果が大きく異なります。そして副作用報告・被害救済制度の演習問題が豊富かどうかも確認ポイントです。制度系の知識は、問題を解くことで初めて正確な理解が確認できます。


第5章で「足切り」を回避するための最終確認

試験直前にぜひ確認してほしい3点をお伝えします。

確認ポイント① 被害救済制度の給付対象外リストを、根拠と一緒に覚えているか。

確認ポイント② 添付文書の「改訂年月」記載の意義(最新の改訂が最も重要な記載事項を含む、という意味)を説明できるか。

確認ポイント③ 副作用報告の「15日以内報告」と「30日以内報告」の区分が、どの種類の副作用に適用されるかを整理できているか。

この3点は、私が講座で毎年直前期に受講生に確認しているチェックポイントです。ここで詰まった受験生は、第5章の過去問を1年分解き直すことをお勧めします。


第5章攻略で試験全体の得点を底上げする

第5章は、単独の暗記科目ではありません。

第1章・第2章・第3章・第4章のすべての知識が、第5章の設問に絡んで出題される、いわば試験の「総合演習」のような章です。

第5章をしっかり攻略した受験生は、学習の最終段階で「各章の知識がつながった」という手応えを感じられます。逆に、第5章を後回しにしたまま本番を迎えると、他章の知識が孤立した暗記のまま終わり、複合問題に弱いという状況になりがちです。

厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」によると、全国平均の合格率は40〜50%前後で推移しています。その中で合格を勝ち取るためには、得意章で稼ぎながら第5章で足切りを回避するというバランス戦略が不可欠です。

第5章は、正しい学習設計さえあれば得点源に変えられる章です。他章との関連を意識した学習を今日から始めることで、試験本番での得点力は着実に高まります。

よくある質問

第5章の学習はいつ頃から始めるべきですか?

第3章の「主な医薬品とその作用」を一通り学び終えたタイミングで入るのがベストです。第5章の添付文書の問題は、第3章の成分知識(副作用や禁忌)が土台になります。第3章と第5章を往復しながら学習すると、驚くほど知識が定着します。

独学で第5章の細かい制度まで覚えられるか不安です。

制度系の知識は「どこが試験に出るか」の優先順位づけが独学では難所になります。効率よく確実な合格を目指すなら、プロが要点をまとめた講座を活用するのも賢い選択です。とくに第5章の図解が分かりやすい講座を選ぶと、学習時間が大幅に短縮できます。

添付文書の「改訂年月」が出題されるって本当ですか?

はい、頻出ポイントです。医薬品の有効性や安全性に関する新たな知見があった場合、添付文書は随時改訂されます。「重要な内容が変更された場合には、改訂年月を記載し、改訂箇所を明示する」というルールはよく試験で問われるので必ず押さえておきましょう。

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この記事を書いた人

大学講師として登録販売者試験講座を担当した経験を持つ。薬剤師と元大学講師としての目線で登録販売者試験に合格するための戦略を発信。

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