第3章・胃腸薬の成分と使い分け|試験と実務の両方に使える知識

【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • 胃腸薬は「分類・作用・注意点」の3点で覚える
  • 丸暗記を脱却し作用の方向性から成分を理解する
  • 試験合格だけでなく現場の実務で使える知識になる
目次

「胃腸薬の成分が覚えられない」と感じていませんか?

「制酸成分なのか胃粘膜保護成分なのか、どうしても混乱してしまう。」

第3章の学習を進めていると、こうした悩みに行き当たる受験生が非常に多いです。

登録販売者試験の全出題数は120問ですが、そのうち第3章の出題数は40問と最大の比重を占めます(出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」令和6年4月)。なかでも胃腸に作用する薬は「胃の薬」「腸の薬」「胃腸鎮痛鎮痙薬」「浣腸薬」「駆虫薬」という五つのカテゴリに分かれており、登場する成分名の数は他の薬種に比べて格段に多い分野です。

私が大学の対策講座で受講生を指導してきた経験から申し上げると、胃腸薬の成分を「分類・作用・注意点」の三点セットで整理できた受講生は、本番でも安定した得点を確保しています。

この記事では、試験で頻出の胃腸薬成分を分類ごとに体系的に解説します。試験対策として活用できるのはもちろん、ドラッグストアの現場で製品案内をする際にもすぐに役立つ実務知識として使える内容にまとめています。

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第3章で「胃腸薬」の比重が大きい理由

「第3章を制する者は登録販売者を制す」 という言葉を耳にしたことがある受験生も多いでしょう。

120問中40問が第3章から出題されており、この40問を高得点で取れるかどうかが合否の分岐点になります。そして胃腸薬のパートは、その40問のなかでも最もボリュームの多い分野のひとつです。

採用面接の場でも、「胃腸薬を正しく案内できるか」は実務スキルの指標のひとつです。資格取得後に入社した方が「制酸成分と胃粘膜保護成分の違いを説明してください」と問われ、答えられなかったという事例は珍しくありません。試験で点数を取るためだけでなく、現場で使える知識として吸収することを意識して学習を進めていきましょう。


胃の薬:「制酸・保護・分泌抑制・健胃・消化」の作用を使いこなす

胃の薬には大きく五つの作用方向があります。制酸成分・胃粘膜保護成分・胃液分泌抑制成分・健胃成分・消化成分の分類を正確に把握することが、第3章攻略の最初のステップです。

作用の分類代表成分試験・実務でのポイント
制酸成分炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム 等胃酸を中和。「無機塩」がキーワード。
胃粘膜保護・修復成分アルジオキサ、スクラルファート、アズレンスルホン酸ナトリウム 等アルミニウム含有成分は透析患者への使用NG。
胃液分泌抑制成分ロートエキス、ピレンゼピン塩酸塩抗コリン作用。ピレンゼピンは消化管への選択性が高い。
健胃成分オウバク、オウレン、センブリ 等の生薬苦味で胃を活発化。オブラートで包むと無意味。
消化成分タカヂアスターゼ、ビオジアスターゼ、ウルソデオキシコール酸 等消化酵素を補う。胆汁系成分は脂肪分解を促す。

※出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」をもとに作成

制酸成分「中和する」が核心

胃酸を中和して酸度を下げる成分です。代表的な成分は以下の通りです。

  • 炭酸水素ナトリウム(重曹)
  • 酸化マグネシウム・炭酸マグネシウム
  • 合成ヒドロタルサイト
  • メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
  • 沈降炭酸カルシウム・リン酸水素カルシウム
  • 生薬ではボレイ(カキの貝殻)

「マグネシウム・カルシウム・アルミニウム系の無機塩」というイメージを持つと、新しい成分名が出てきても分類しやすくなります。

胃粘膜保護・修復成分「粘膜を守る」が核心

荒れた胃粘膜を保護・修復する成分として頻出なのがアルジオキサスクラルファートです。どちらもアルミニウムを含む成分であるため、透析を受けている人への使用は避けるという注意点が試験でよく問われます(出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」令和6年4月)。そのほかの保護成分として、アズレンスルホン酸ナトリウム(水溶性アズレン)、テプレノン、ゲファルナート、銅クロロフィリンカリウム・銅クロロフィリンナトリウムなどがあります。

関連記事:[第3章を最短攻略!登録販売者試験の成分勉強法ガイド]

胃液分泌抑制成分「抗コリン作用」が核心

胃液分泌を抑える成分として試験に頻出なのがロートエキス塩酸ピレンゼピンです。両者とも抗コリン作用を持ちます。

塩酸ピレンゼピンは消化管の運動にほとんど影響を与えずに胃液分泌を抑える点が特徴です。消化管以外では一般的な抗コリン作用(排尿困難・目のかすみ・口渇など)が現れるため、この「消化管への選択性」を問う出題があります(出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」令和6年4月)。

健胃・消化成分「苦味と酵素」を意識する

健胃成分には苦味による健胃作用を期待して用いられる生薬が多く登場します。オウバク・オウレン・センブリが代表例です。これらを含む健胃薬は、オブラートで包むなどして味や香りを遮蔽すると効果が期待できない点が頻出問題のポイントです。

消化成分ではタカヂアスターゼ・プロザイム・ビオジアスターゼなどの消化酵素成分が登場します。脂肪分解を促す目的でウルソデオキシコール酸などの胆汁系成分が配合される場合もあります。


腸の薬:「止める・出す・整える」の三方向を整理する

腸の薬には整腸薬・止瀉薬・瀉下薬という三つの方向性があります。「下痢には止瀉薬」「便秘には瀉下薬」「腸内環境の改善には整腸薬」と方向性を明確に区別することが理解の起点です。

分類サブ分類代表成分絶対に覚えるべき注意点
止瀉薬
(下痢止め)
腸管運動抑制ロペラミド塩酸塩食あたり不可、15歳未満不可、飲酒・運転不可。
収斂作用タンニン酸アルブミン牛乳アレルギーの人には使用不可。
瀉下薬
(便秘薬)
大腸刺激性センナ、センノシド、ダイオウ、ビサコジル 等センノシドは腸内細菌で分解され大腸を刺激。授乳・妊娠中注意。
無機塩類(非刺激)酸化マグネシウム 等浸透圧を高めて便を軟化。腎臓病の人は要注意。
整腸薬消化管運動調整トリメブチンマレイン酸塩低下時は促進、亢進時は抑制する「双方向」の作用。

※注記:ビサコジル(腸溶錠)は制酸成分や牛乳との同時服用を避けること。

止瀉薬頻出成分を一気に押さえる

止瀉薬の中でも試験頻出度の高い成分を整理します。

タンニン酸アルブミンは収斂作用を持つ止瀉成分ですが、牛乳アレルギーのある人への使用は避ける点が試験でよく出題されます。タンニン酸アルブミンにはカゼイン(牛乳タンパク)が含まれているためです。

ロペラミド塩酸塩は腸管の運動を低下させる強力な止瀉成分です。食あたり・水あたりによる下痢への適用対象外・15歳未満への使用不可・服用中の飲酒禁止・乗り物や機械類の運転操作禁止という四点が出題のポイントです(中枢神経系の抑制増強・めまい・眠気の副作用があるため)。

木クレオソートは、過剰な腸管の蠕動運動を正常化して水分・電解質の分泌も抑えます。また、歯に使用した場合には局所麻酔作用もあるとされています。

オウバクのエキス製剤は苦味による健胃作用よりもベルベリンによる止瀉作用を期待して用いられます。エキス製剤と末(粉末)で目的が異なる点を覚えておきましょう。

瀉下薬「大腸刺激性」と「非刺激性」を区別する

瀉下薬で最も出題頻度が高いのが大腸刺激性瀉下成分です。センナ・センノシド・ダイオウ・ビサコジル・ピコスルファートナトリウムが代表成分です。

ここで多くの受験生が引っかかるポイントがあります。センノシドは胃や小腸では分解されず、大腸に生息する腸内細菌によって分解された物質が大腸を刺激して瀉下作用をもたらします(出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」令和6年4月)。「小腸を刺激する」という誤りの選択肢が実際の試験でも登場するため、「大腸の腸内細菌→大腸刺激」という流れを意識して記憶してください。

センナ・センノシド・ダイオウについては、吸収された成分の一部が乳汁中に移行するため授乳中の女性は使用を避けるか授乳を控える必要があります。また刺激性瀉下成分は流産・早産を誘発するおそれがあるため妊娠中の使用も注意が必要です。

ビサコジルは腸溶錠であり、制酸成分・牛乳との同時服用によって腸溶コーティングが早期に溶けて効果に影響が出るため、同時服用は避ける必要があります。

非刺激性では酸化マグネシウム(塩類下剤)が頻出です。腸内容物の浸透圧を高めて便を軟化・膨張させる機序で作用します。

関連記事:[登録販売者試験の第3章・解熱鎮痛薬の成分と副作用まとめ]

整腸薬「生菌」と「調節成分」を区別

整腸薬はビフィズス菌・アシドフィルス菌・ラクトミン・乳酸菌・酪酸菌などの生菌成分が主役で、腸内細菌叢のバランスを整える目的で用いられます。

トリメブチンマレイン酸塩は消化管の運動が低下しているときは促進し、亢進しているときは抑制するという双方向の調節作用を示します。「低下→促進・亢進→抑制」という双方向性を明確に覚えておきましょう。


胃腸鎮痛鎮痙薬:「抗コリン」と「平滑筋直接作用」の違いを制する

胃腸鎮痛鎮痙薬のパートは、出題範囲のページ数が少ない割に得点が取りやすい分野です。

抗コリン成分が中心となりますが、試験頻出のロートエキスには散瞳による目のかすみと排尿困難という副作用があります。「縮瞳」と「散瞳」の入れ替えが引っかけ問題としてよく登場するため、ロートエキスは散瞳(瞳孔が広がる方向)と正確に覚えておきましょう(出典:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き」令和6年4月)。

パパベリン塩酸塩は抗コリン成分ではなく、消化管の平滑筋に直接働いて痙攣を鎮める成分です。胃液分泌を抑える作用は見出されない点で抗コリン成分と区別されますが、眼圧を上昇させるおそれがあるため、緑内障の診断を受けた人は使用前に専門家への相談が必要です。(※「してはいけないこと」ではなく「相談すること」である点が引っかけとして狙われます)パパベリン塩酸塩と塩酸ピレンゼピンの混同は試験でも頻出の引っかけパターンです。

オキセサゼインは局所麻酔作用に加え、胃液分泌を抑える作用もあるとされており、胃腸鎮痛鎮痙薬と制酸薬の両方の目的で使用されるユニークな成分です。妊娠中の女性には使用を避けることとされている点も押さえておきましょう。


胃腸関連の漢方:「体力の程度×代表症状」で効率的に覚える

第3章の漢方について「捨てても良い」という古い情報を信じている方がいますが、近年の出題傾向に合っていません。

私が伝えている漢方の覚え方は、「体力の程度・代表症状・禁忌注意点」の三点に絞ることです。胃腸関連の頻出処方を以下に整理します。

漢方処方名体力の目安適応となる代表症状出題のポイント
安中散
(あんちゅうさん)
中等度以下胃痛、腹痛、胸やけ、げっぷ、胃もたれ慢性的な胃腸症状や神経性胃炎に。
六君子湯
(りっくんしとう)
中等度以下胃腸が弱く食欲がない、みぞおちのつかえ、疲れやすい食後の脱力感や消化不良に。
大黄甘草湯
(だいおうかんぞうとう)
体力に関わらず便秘、便秘に伴うのぼせ・肌荒れダイオウ配合のため授乳中の使用に注意。

※漢方の出題は「体力の程度」と「特有の症状」の結びつきが最も狙われます。

安中散(あんちゅうさん)は体力中等度以下で、慢性的な胃腸症状がある人に向いた処方です。胃痛・腹痛があり、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれを伴う神経性胃炎などに用いられます。

六君子湯(りっくんしとう)は体力中等度以下で胃腸が弱く食欲がない人向けの処方です。みぞおちがつかえ、疲れやすい場合の消化不良などに適応とされます。中等度以下で胃腸が弱く食欲がない人向けの処方です。食後の脱力感・胃もたれを伴う場合が適応とされます。

大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)は体力に関わらず便秘に用いられます。構成生薬のダイオウは授乳中の使用に注意が必要です。

漢方の出題では「体力が強い人向き」か「弱い人向き」かを問うケースが多く、この軸を意識するだけで消去法の精度が大きく向上します。


「成分の意味」を理解した人が試験でも現場でも強い

私が採用面接の場で多くの登録販売者と面談した際に痛感したのは、成分名を丸暗記しているだけでは現場で活かせないという事実です。

たとえば、お客様が止瀉薬のタンニン酸アルブミンを手に取ったとします。牛乳アレルギーをお持ちの方であれば、成分の意味を理解している登録販売者なら即座にカゼイン由来成分のリスクを伝えられます。暗記だけでは、この判断はできません。

第3章の成分学習では「なぜその成分がその薬に配合されているのか」という薬理的な文脈を理解することで記憶に定着します。特に胃腸薬は「制酸・保護・分泌抑制・整腸・止瀉・瀉下・鎮痙」という作用の方向性を先に理解し、後から成分名を当てはめていく学習順序が効果的です。対策講座ではこの「文脈ベースの理解」を効率よく構築できる設計になっています。

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試験前最終確認チェックリスト:胃腸薬の成分

直前期に何度でも見返せるよう、胃腸薬の重要ポイントをチェックリスト形式でまとめます。

【胃の薬】

  • □ 制酸成分(炭酸水素ナトリウム・酸化マグネシウム・合成ヒドロタルサイト等)は中和反応で胃酸を弱める
  • □ アルジオキサ・スクラルファートはアルミニウム含有→透析患者への使用を避ける
  • □ 塩酸ピレンゼピンは消化管運動にほとんど影響せず胃液分泌を抑制
  • □ 健胃生薬(オウバク・オウレン・センブリ)はオブラートで包まずに服用する

【腸の薬】

  • □ タンニン酸アルブミン→牛乳アレルギーの人は使用を避ける
  • □ ロペラミド塩酸塩→食あたり・水あたりには不可、15歳未満不可、飲酒・運転禁止
  • □ センノシドは大腸の腸内細菌で分解→大腸を刺激(「小腸を刺激」は誤り)
  • □ センナ・センノシド・ダイオウは乳汁中移行あり、刺激性瀉下成分は流産・早産誘発のおそれ
  • □ ビサコジル(腸溶錠)は制酸成分・牛乳との同時服用を避ける

【胃腸鎮痛鎮痙薬】

  • □ ロートエキスの副作用は散瞳(縮瞳ではない)・排尿困難
  • □ パパベリン塩酸塩→平滑筋直接作用・緑内障は使用前に相談(禁忌ではない)
  • □ オキセサゼイン→局所麻酔作用・胃液分泌抑制の両作用

【漢方】

  • □ 安中散→体力中等度以下(胃痛・腹痛・胸やけ・げっぷ・胃もたれ)
  • □ 六君子湯→体力中等度以下(みぞおちのつかえ・疲れやすい)
  • □ 大黄甘草湯→体力に関わらず使用可・ダイオウ配合で授乳中注意

第3章の胃腸薬は範囲が広く、最初は苦手意識を持つ受験生が多い分野です。しかし「分類×作用×注意点」の枠組みで整理することで、試験本番でも実務の現場でも活用できる本物の知識として身につきます。採用される登録販売者は、成分を「知っている」だけでなく「使える」状態にして試験に臨んでいます。

体系的なカリキュラムで第3章全体を効率よく習得したい方には、対策講座の活用が大きな力になります。

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FAQ

胃腸薬の成分は数が多すぎて覚えられません。どうすればいいですか?

「作用の方向性(制酸・保護・健胃など)」という箱を先に作り、そこに成分名を放り込んでいくのがコツです。いきなり個別の成分名を丸暗記しようとすると必ず挫折します。「なぜこの成分が入っているのか?」という文脈を意識すると、実務でも使える知識として定着します。

独学で第3章を乗り切れるか不安です。挫折しない良い勉強法はありますか?

第3章は出題比率が高く、ここでつまずくと合格が遠のいてしまいます。独学での暗記に限界を感じたら、プロのカリキュラムを頼るのも賢い選択です。特に胃腸薬のような複雑な分野は、映像やテキストで体系的に学べる通信講座が圧倒的に効率的です。「登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較」の記事で、迷わずに学習を進められる講座を厳選して解説していますので参考にしてください。

登録販売者として現場に立った際、胃腸薬の知識はどのくらい使いますか?

極めて頻繁に使います。胃腸薬はお客様からの相談件数がトップクラスに多いジャンルです。「食あたりで困っている(止瀉薬の提案)」「胃痛と胸やけがある(制酸・保護薬の提案)」など、症状に応じた的確なヒアリングと成分選びが求められるため、試験用の知識がそのまま接客スキルに直結します。

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この記事を書いた人

大学講師として登録販売者試験講座を担当した経験を持つ。薬剤師と元大学講師としての目線で登録販売者試験に合格するための戦略を発信。

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