登録販売者試験に合格したあと、勤務先から「まだ研修中です」と説明されて戸惑う方は少なくありません。
資格試験には合格したのに、なぜ研修中なのでしょうか。一人で医薬品を販売してはいけないのでしょうか。いつまで働けば研修中ではなくなるのでしょうか。
最初に結論を整理すると、登録販売者の研修中は、資格取得から一定期間が経過すれば自動的に終了する単純な制度ではありません。
厚生労働省の通知では、第2類・第3類医薬品を扱う店舗の店舗管理者となるための要件が定められており、その主な3つの要件のいずれにも該当しない登録販売者が、通知上の研修中の登録販売者として扱われます。
- 試験合格から何年たったかだけでは、研修中かどうかは決まりません
- 合格前に一般従事者として積んだ実務経験も、要件判定に含められる場合があります
- 店舗販売業では、研修中の登録販売者は、その店舗に勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事します
- 研修中の登録販売者は、店舗管理者の代行者にはなれません
- 第2類・第3類医薬品を扱う店舗では、研修中を外れるための主なルートが3つあります
- 80時間・160時間と1,920時間は、単純にすべてを同時に満たす条件ではありません
- 管理者要件を満たすことと、実際に店舗管理者へ選任されることも別です
本記事では、一般的なドラッグストアなど第2類・第3類一般用医薬品を扱う店舗販売業を中心に解説します。第1類医薬品を扱う店舗の管理者には別の要件があるため、同じルールとして扱わない点にも注意してください。
制度部分は2026年8月時点で、厚生労働省の「医薬品の販売制度|登録販売者制度について」、「登録販売者制度の取扱い等について」、「登録販売者に対する研修の実施要領について」を確認しています。
登録販売者の研修中とは?まず制度上の意味を整理
登録販売者の研修中を理解するときに、最初に分けて考えたいものが次の5つです。
- 登録販売者試験への合格
- 販売従事登録
- 研修中かどうか
- 店舗管理者となるための要件を満たしているか
- 実際に店舗管理者へ選任されているか
これらは同じ意味ではありません。
試験に合格しただけで店舗管理者になれるわけではない
登録販売者試験に合格すると、登録販売者になるための大きな条件を一つクリアしたことになります。
しかし、試験合格そのものと、第2類・第3類医薬品を扱う店舗の店舗管理者となるための要件は別です。
厚生労働省の通知では、店舗管理者となることができる登録販売者について、実務・業務の従事期間や研修の修了、過去の管理者経験などを組み合わせた要件を定めています。
そのため、試験には合格しているものの、まだ店舗管理者となるための要件には該当していないという状態があり得ます。これが研修中を理解する出発点です。
研修中とは主な管理者要件3ルートのいずれにも該当しない登録販売者
厚生労働省は「登録販売者制度の取扱い等について」で、第2類・第3類医薬品を扱う店舗の店舗管理者となれる登録販売者について、主に3つの要件を定めています。
そして、その3つの要件のいずれにも該当しない登録販売者を研修中の登録販売者としています。
つまり研修中とは、単なる社内の新人呼称ではなく、店舗管理者要件との関係から判断される区分です。
試験に合格したら全員が必ず研修中になるわけではない
登録販売者試験を受けるまで医薬品販売の仕事をしたことがない方であれば、試験合格後は管理者要件をまだ満たしておらず、研修中として働き始めるケースが一般的です。
ただし、これを「試験合格後は全員が必ず研修中になる」と一般化することはできません。
厚生労働省が定める従事期間には、登録販売者として働いた期間だけでなく、一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下で実務に従事した期間も含まれます。
たとえば試験合格前からドラッグストア等で長期間勤務し、条件を満たす実務に従事していた方は、その経験を含めて管理者要件を判定できる場合があります。
合格日だけを基準に研修中かどうかを判断しないことが重要です。
試験合格・販売従事登録・研修中・店舗管理者の違い
似た言葉が続くため、ここで一度整理しておきましょう。
| 段階 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 試験合格 | 登録販売者試験に合格した状態 | 合格だけで店舗管理者になるわけではない |
| 販売従事登録 | 登録販売者として販売等に従事するための登録 | 管理者要件とは別 |
| 研修中 | 主な店舗管理者要件3ルートのいずれにも該当していない登録販売者 | 管理・指導下で業務に従事する |
| 管理者要件を満たした登録販売者 | 第2類・第3類医薬品を扱う店舗の店舗管理者候補となれる要件を満たした状態 | 要件充足=自動的な役職就任ではない |
| 店舗管理者 | 店舗販売業者から実際に店舗管理者として選任された者 | 必要な能力・経験も踏まえて選任される |
特に重要なのが、管理者要件を満たしたことと、店舗管理者へ実際に選任されることを混同しないことです。
厚生労働省通知では、店舗管理者は必要な能力・経験を有する者でなければならないとしたうえで、店舗販売業者が適切に選任することを求めています。
したがって、実務・業務経験などの要件を満たした翌日から、自動的に店舗管理者という役職になるわけではありません。
研修中の登録販売者にできること・できないこと
研修中と聞くと、医薬品販売にはほとんど関われないように感じるかもしれません。
しかし、研修中の登録販売者も、必要な管理・指導を受けられる体制の中で医薬品販売等の業務に従事します。
大切なのは「医薬品に関する仕事を一切できない」のではなく、単独で医薬品販売体制を担うことはできないと理解することです。
| 業務・状態 | 研修中 | 考え方 |
|---|---|---|
| 第2類・第3類医薬品の販売等に従事 | ○ | 薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で行う |
| 医薬品の情報提供・相談対応 | ○ | 必要な管理・指導を受けられる体制で従事する |
| レジ・品出し・陳列などの一般業務 | ○ | 研修中という区分によって一般業務自体が禁止されるわけではない |
| 研修中の登録販売者だけで一般用医薬品の販売体制を担う | × | 店舗販売業ではその店舗に勤務中の管理・指導者が必要 |
| 店舗管理者の代行者になる | × | 厚生労働省通知で不可とされる |
| 店舗管理者に選任される | × | 先に管理者要件を満たす必要がある |
研修中でも医薬品の接客そのものが禁止されているわけではない
研修中の登録販売者がお客様と話すことや、医薬品について説明すること自体が一律に禁止されているわけではありません。
制度上重要なのは、研修中の登録販売者を薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事させることです。
実際の店舗では、会社の教育方針や習熟度に応じて、研修中の登録販売者に任せる業務範囲を法令上必要な水準より厳しく設定していることもあります。
その場合は、法令上の最低条件と勤務先独自の社内ルールを分けて考えてください。
ドラッグストアでは誰の管理・指導が必要?
ここは登録販売者の研修中制度で、特に誤解しやすい部分です。
ドラッグストアなどの店舗販売業について、厚生労働省は研修中の登録販売者を、その店舗において勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事させなければならないとしています。
つまり、研修中の登録販売者だけを店舗に残し、その人だけで第2類・第3類医薬品の販売体制を担わせることはできません。
一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」4.従事者の区別等
研修中だけで閉店作業をしてはいけない?
この質問は、何を閉店作業と呼んでいるかを分けて考える必要があります。
一般商品の片付け、清掃、レジ締めなど、一般用医薬品の販売体制とは別の作業まで、研修中という理由だけで一律に禁止されるという意味ではありません。
一方で、その時間帯も第2類・第3類医薬品を販売するのであれば、研修中の登録販売者だけで医薬品販売体制を担うことはできません。
閉店作業という言葉ではなく、その時間帯に一般用医薬品を販売しているのか、必要な管理・指導者が店舗に勤務しているのかで考える方が正確です。
一人でレジに立つのも禁止?
レジ業務そのものが研修中だから禁止されるという制度ではありません。
ただし、そのレジで一般用医薬品を販売する時間帯に、研修中の登録販売者しか店舗にいないのであれば、別の問題が生じます。
一般商品のレジ業務と、第2類・第3類医薬品を販売するための資格者配置・管理指導体制は分けて確認しましょう。
管理・指導者が休憩中やバックヤードにいる場合は?
厚生労働省通知は、店舗販売業ではその店舗において勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者による管理・指導を求めています。
一方、休憩、一時離席、店舗内での配置方法など、個々の勤務形態を本記事だけで一律に適法・違法と判定することはできません。
具体的なシフト運用に疑問がある場合は、勤務先の店舗管理者・法務担当者等に確認し、必要に応じて所管自治体・保健所へ確認するのが安全です。
店舗販売業と配置販売業では管理・指導のルールが違う
登録販売者制度を調べていると、管理・指導者と電話で連絡できればよいという説明を見かけることがあります。
しかし、この説明をそのままドラッグストアへ当てはめるのは適切ではありません。
厚生労働省通知では、店舗販売業と配置販売業を分けて規定しています。
| 店舗販売業 | 配置販売業 | |
|---|---|---|
| 代表例 | ドラッグストア等 | 家庭等を巡回する配置販売 |
| 研修中への管理・指導 | その店舗に勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者 | 薬剤師または研修中ではない登録販売者 |
| 電話連絡・駆けつけ体制 | 通知はこの表現で店舗販売業を説明していない | 常に電話連絡でき、必要時に管理・指導者が駆けつけられる体制を具体的に規定 |
配置販売業については、研修中の登録販売者が管理・指導者と常に電話で連絡でき、必要に応じて管理・指導者がその場に駆けつけられる体制などが具体的に示されています。
ドラッグストア勤務について調べるときに、配置販売業の電話連絡ルールだけを切り取って判断しないことが重要です。
研修中はいつまで?研修中を終える主な3つのルート
研修中がいつまで続くかは、単純に試験合格からの経過年数だけでは答えられません。
第2類・第3類医薬品を扱う店舗では、厚生労働省通知上、店舗管理者となることができる登録販売者について主に3つのルートがあります。
| ルート | 主な要件 | ポイント |
|---|---|---|
| ① 2年ルート | 過去5年間の従事期間が通算2年以上 | 従来からある基本的なルート |
| ② 1年+研修ルート | 過去5年間の従事期間が通算1年以上+継続的研修・追加的研修を修了 | 2023年の管理者要件見直しで追加 |
| ③ 過去管理者経験ルート | 従事期間が通算1年以上+過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験 | 過去の管理者経験を持つ人向け |
この3つのいずれかに該当すれば、研修中の登録販売者という区分から外れることになります。
ただし、これだけを見て「1年働けば終わる」「2年働けば必ず終わる」と判断するのも適切ではありません。
従事期間は月単位で計算され、勤務時間についても判定方法が定められています。
管理者要件の詳細、実務経験・業務経験の違い、証明方法については、登録販売者の実務経験とは?管理者要件を満たす方法を解説で詳しく整理します。
完全未経験なら研修中はどのくらい続く?ケース別に整理
ここでは、自分に近いケースから研修中の期間をイメージできるように整理します。
以下は制度を理解するための例であり、個々の要件充足を確定するものではありません。実際には勤務記録や研修受講歴、証明書等で確認してください。
ケース1|医薬品販売の経験がまったくない状態で試験に合格した
合格前の実務経験がなく、合格後に初めて登録販売者として勤務する場合は、管理者要件をまだ満たしていないため、研修中としてスタートするケースが基本になります。
その後は、2年ルートを目指すのか、条件を満たして1年+研修ルートを利用するのかによって、研修中を外れる時期が変わります。
したがって、未経験者についても「必ず2年間研修中」とは限りません。
ケース2|試験合格前からドラッグストアで働いていた
一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下で、条件を満たす実務に従事していた期間は、従事期間に含まれる場合があります。
たとえば試験に合格するより前から長期間ドラッグストア等で勤務していた方は、合格日を起点にゼロから年数を数えるとは限りません。
以前の勤務先でどのような業務に従事し、その経験を証明できるかを確認しましょう。
ケース3|1年以上働いていて所定の研修も修了している
過去5年間の従事期間が通算1年以上あり、継続的研修と追加的研修を修了している場合は、1年ルートの対象になり得ます。
ただし、単に入社から1年経過したというだけでは判断できません。従事期間・従事時間・研修修了の条件を確認する必要があります。
ケース4|短時間パートで働いている
短時間勤務だから管理者要件を絶対に満たせないわけではありません。
後述するように、80時間・160時間という月ごとの基本的な算定方法とは別に、月単位の従事期間と過去5年間の合計1,920時間を組み合わせて判定する方法も設けられています。
扶養内勤務や月ごとの勤務時間にばらつきがある方ほど、単純に「月80時間未満だから全部無効」と考えないことが大切です。
ケース5|以前に店舗管理者を経験している
過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験がある方には、2年ルート・1年+研修ルートとは別のルートがあります。
長いブランクがあるからといって、過去の管理者経験を確認せずに「またゼロから研修中」と判断するのは避けましょう。
80時間・160時間と1,920時間の関係を正しく理解する
登録販売者の管理者要件で、最も誤解が生じやすいのが勤務時間です。
よく見かけるのが、次のような理解です。
- 2年間働き、さらに1,920時間必要
- 月80時間未満だった月はすべて無効
- 1年ルートなら毎月160時間を1回でも下回ると利用できない
しかし、現行通知はもう少し細かく設計されています。
基本的な月単位の計算は80時間と160時間
従事期間は月単位で計算します。
- 2年ルート:1か月に80時間以上従事した場合、その月を必要な実務・業務に従事したものと認める
- 1年+研修ルート:1か月に160時間以上従事した場合、その月を必要な実務・業務に従事したものと認める
ここだけを見ると、80時間や160時間を下回った月は使えないように見えます。
月80時間・160時間を満たさない場合の代替的な判定もある
厚生労働省は、多様な勤務状況を踏まえ、月ごとの時間条件を満たさない場合についても別の判定方法を示しています。
過去5年間のうち、月当たりの時間数にかかわらず月単位で数えた従事期間が通算して1年以上または2年以上あり、さらに過去5年間の従事時間が合計1,920時間以上である場合は、それぞれ通算1年以上または2年以上の登録販売者とみなして差し支えないとされています。
- 80時間・160時間は月単位で従事期間を算定する基本的な基準
- その基準を満たさない月がある場合にも、別の判定方法がある
- その場合、月単位の必要期間に加えて過去5年間合計1,920時間以上を確認する
- 1,920時間だけ達成すれば期間要件を無視できるわけではない
したがって、勤務時間が毎月一定でない方は、インターネット上の単純な勤務年数シミュレーションだけで判断しない方が安全です。
一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」3.店舗管理者及び区域管理者の指定
研修中と継続的研修・追加的研修は別の意味
登録販売者については「研修」という言葉が複数登場します。
ここを混同すると、研修中という区分を正しく理解できません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 研修中の登録販売者 | 店舗管理者要件との関係で定まる区分 |
| 継続的研修 | 一般用医薬品の販売に従事する登録販売者が毎年度受講する研修 |
| 追加的研修 | 1年以上の従事期間で店舗管理者等となるルートなどで必要な、法令遵守・店舗管理に関する研修 |
| 会社独自の社内研修 | 勤務先企業が教育・接客・業務習得などを目的として独自に実施する研修 |
継続的研修は毎年度12時間以上
厚生労働省の研修実施要領では、一般用医薬品の販売に従事する全ての登録販売者を継続的研修の対象とし、毎年度少なくとも計12時間以上受講させることとしています。
研修中の登録販売者だけを対象とする研修ではありません。
1年ルートでは追加的研修6時間以上も必要
過去5年間の従事期間が通算1年以上で店舗管理者等となるルートでは、継続的研修に加えて、法令遵守と店舗・区域の管理に関する追加的研修を修了する必要があります。
追加的研修は少なくとも計6時間以上です。
内容には、ガバナンス・法規・コンプライアンス、販売現場や店舗管理に関するコミュニケーション演習、店舗管理者に求められる対応のケーススタディなどが含まれます。
継続的研修12時間の中から6時間を切り出せば追加的研修も終わる、という意味ではありません。1年ルートでは継続的研修に加えて追加的研修を修了する必要があります。
一次資料:厚生労働省「登録販売者に対する研修の実施要領について」
私は研修中?5ステップで確認する
自分が研修中なのか分からない方は、次の順番で情報を整理すると判断しやすくなります。
- 合格前に医薬品販売の実務経験があるか
- 合格後の業務経験が何か月あるか
- 月ごとの従事時間と過去5年間の累計時間はどのくらいか
- 継続的研修・追加的研修を修了しているか
- 過去に店舗管理者・区域管理者として働いた経験があるか
STEP1|合格前の実務経験を確認する
登録販売者試験合格前でも、薬局・店舗販売業・配置販売業で一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下で実務に従事していた場合、その期間を利用できる場合があります。
ドラッグストアでアルバイトやパートをしてから登録販売者試験を受けた方は、特に確認しておきたい項目です。
STEP2|合格後の業務経験を確認する
販売従事登録後、登録販売者として医薬品の販売等に従事した期間を確認します。
転職して複数の店舗で勤務したことがある場合は、現在の勤務先だけではなく過去の勤務先も整理します。
STEP3|月数だけでなく勤務時間も確認する
入社してから2年経過しているという事実だけではなく、実際の従事期間と従事時間を確認します。
毎月の勤務時間が一定ではない場合は、80時間・160時間の基本的な算定だけでなく、1,920時間を使う判定に該当するかも確認します。
STEP4|研修の修了状況を確認する
特に1年ルートを利用する場合は、継続的研修と追加的研修の両方が重要です。
研修実施機関から交付された修了証等は、紛失しないよう保管しておきましょう。
STEP5|過去の管理者経験を確認する
以前に店舗管理者や区域管理者として働いた経験がある方は、過去管理者経験ルートに該当する可能性があります。
長期間現場を離れていた方も、単に直近5年間だけを見てゼロからと判断せず、過去の管理者経験を含めて確認してください。
状況別|研修中の可能性と次に確認したいこと
| 現在の状況 | 考え方 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 完全未経験で試験に合格 | 研修中として始まる可能性が高い | 販売従事登録後の従事期間・研修計画 |
| 合格前からドラッグストア勤務 | 合格前の実務経験を利用できる可能性 | 実務内容・期間・勤務先による証明 |
| 1年以上勤務+所定研修修了 | 1年ルートの対象になる可能性 | 従事期間・時間・継続的研修・追加的研修 |
| 2年以上勤務 | 2年ルートの対象になる可能性 | 月数・勤務時間・証明書類 |
| 短時間パート | 勤務時間だけで即否定しない | 月単位の従事期間+5年間合計1,920時間 |
| 過去に店舗管理者経験あり | 別ルートに該当する可能性 | 通算従事期間と過去の管理者経験 |
| 長いブランクあり | 一律にゼロからとは限らない | 過去管理者経験等を含めて確認 |
この表はあくまで確認の入口です。最終的な要件充足は、実務・業務経験や研修受講歴を客観的に確認したうえで判断する必要があります。
実務経験と業務経験は何が違う?
管理者要件を調べていると、実務経験と業務経験という2つの表現が出てきます。
| 実務経験 | 業務経験 | |
|---|---|---|
| 主な立場 | 一般従事者 | 登録販売者 |
| 時期 | 試験合格前を含む | 登録販売者として業務に従事した期間 |
| 条件 | 薬剤師または登録販売者の管理・指導下で所定の実務に従事 | 登録販売者として医薬品販売等の業務に従事 |
特に重要なのは、試験に合格する前の経験だから無条件にゼロになるわけではない点です。
一方、ドラッグストアで勤務していたという事実だけで、すべての勤務時間が自動的に実務経験になるとも限りません。
どのような立場で、どのような管理・指導を受けながら実務に従事していたかを確認する必要があります。
この部分はID1349では概要までとします。実務経験・業務経験の数え方や管理者要件を詳しく確認したい方は、登録販売者の実務経験とは?管理者要件を満たす方法を解説をご確認ください。
実務・業務経験は勤務先による証明が重要
自分の手帳や給与明細を見て「2年働いたから大丈夫」と判断するだけでは、管理者要件の確認として十分ではありません。
厚生労働省通知では、薬局開設者・店舗販売業者・配置販売業者が、一般従事者としての実務や登録販売者としての業務経験について証明する仕組みを定めています。
店舗販売業者は、その店舗で登録販売者として業務に従事した者から過去5年間の業務経験の証明を求められた場合、速やかに証明を行うこととされています。
一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下で実務に従事した場合についても、同様に証明の仕組みがあります。
転職経験がある場合は、以前の勤務先へ証明を依頼する場面もあります。退職後に初めて確認するより、在職中から自分の従事期間・勤務時間・研修履歴を整理しておく方が確認しやすくなります。
名札の研修中表記はいつ外れる?
店舗販売業者は、研修中の登録販売者について、研修中であることが容易に判別できるよう名札に必要な表記をしなければなりません。
厚生労働省は例として、登録販売者(研修中)という表記や、研修中である旨をシール等で表記する方法を示しています。
一方、研修中ではない登録販売者には、研修中である旨を名札に表示する必要はありません。ただし、従事期間等を証明する書類を原則として勤務店舗に保管しておくこととされています。
したがって、単に勤務開始から1年または2年たった日をもって自己判断で名札を外すという考え方ではなく、管理者要件への該当を勤務先側でも確認する必要があります。
一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」4.従事者の区別等
研修中を外れたら何が変わる?
管理者要件を満たして研修中ではない登録販売者になった場合、制度上は第2類・第3類医薬品を扱う店舗の店舗管理者となり得る登録販売者になります。
ただし、繰り返しになりますが、研修中ではなくなったことと、実際に店舗管理者へ就任したことは同じではありません。
店舗管理者として働くには、店舗販売業者から実際に選任される必要があります。
また、法令上の要件を満たしていても、会社が役職や担当業務について独自の基準を設けていることがあります。
制度上できることと、会社から実際に任される仕事を分けて理解することが重要です。
元人事担当者の経験から伝えたい|自分のステータスを把握しておく意味
私は調剤薬局チェーンで人事を担当していた際、登録販売者について確認するとき、資格試験に合格しているかだけではなく、研修中なのか、管理者要件を満たしているのかも確認する必要がありました。
これは、研修中の登録販売者の能力が低いという意味ではありません。
店舗で医薬品を販売するうえで、どのような資格者をどの時間帯に配置する必要があるかという人員体制の問題があるためです。
そのため、就職・転職時には「登録販売者試験に合格しています」だけでなく、次の内容を自分で把握しておくことをおすすめします。
- 販売従事登録の状況
- 現在研修中かどうか
- 合格前の実務経験の有無
- 合格後の業務経験
- おおよその従事期間・従事時間
- 継続的研修・追加的研修の修了状況
- 過去の店舗管理者・区域管理者経験
勤務先と自分の認識が一致していれば、入社後に「管理者として働けると思っていたのに要件を満たしていなかった」といった行き違いを防ぎやすくなります。
未経験からの就職そのものについて確認したい方は、登録販売者として未経験で就職する方法|研修中の働き方と注意点も参考にしてください。
登録販売者の研修中でよくある8つの誤解
誤解1|試験に合格した人は必ず全員が研修中になる
必ずしもそうではありません。
合格前に一般従事者として積んだ実務経験も従事期間に含まれる場合があるため、過去の経験によっては試験合格時点ですでに要件を満たす可能性があります。
誤解2|必ず2年間働かなければ研修中を終えられない
現在は、過去5年間の従事期間が通算1年以上で、継続的研修と追加的研修を修了するルートもあります。
ただし、1年経過だけで自動的に要件を満たすわけではありません。
誤解3|1,920時間働けば期間に関係なく研修中を終えられる
1,920時間だけを独立した条件として考えるのも正確ではありません。
月80時間・160時間の基本的な計算を満たさない場合の判定では、月単位の必要な従事期間と過去5年間合計1,920時間を組み合わせて確認します。
誤解4|月80時間未満だった月の経験は全部無意味になる
これも一律にはいえません。
多様な勤務状況を考慮した1,920時間による判定方法があるためです。
誤解5|研修中はお客様に医薬品の説明をしてはいけない
研修中の登録販売者は、必要な管理・指導下で業務に従事します。
研修中だから医薬品に関する接客自体が一律に禁止されている、という理解ではありません。
誤解6|ドラッグストアでも電話で管理者に連絡できれば一人で販売できる
店舗販売業については、その店舗に勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事することが必要です。
常に電話連絡でき、必要時に駆けつけられるという具体的な説明は、配置販売業について示されているものです。
誤解7|管理者要件を満たしたら自動的に店長・店舗管理者になる
管理者要件を満たしたことと、実際の役職就任は別です。
店舗販売業者から店舗管理者として選任される必要があります。
誤解8|5年以上ブランクがあれば必ずゼロから研修中になる
過去5年間を基準とするルートでは、古い経験が判定対象から外れることがあります。
一方、過去の店舗管理者・区域管理者経験を使うルートなどもあるため、ブランク期間だけで一律に判断することはできません。
登録販売者の研修中についてよくある質問
- 登録販売者の研修中は最短何年で終わりますか?
-
第2類・第3類医薬品を扱う店舗では、過去5年間の従事期間が通算1年以上あり、継続的研修と追加的研修を修了するルートがあります。そのため、条件を満たせば1年以上の従事期間で管理者要件を満たせる場合があります。ただし、1年経過だけで自動的に研修中が終了するわけではなく、従事期間・勤務時間・研修の修了状況等の確認が必要です。
- 研修中の登録販売者は一人で医薬品を販売できますか?
-
ドラッグストアなどの店舗販売業では、研修中の登録販売者は、その店舗に勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事する必要があります。研修中の登録販売者だけで第2類・第3類医薬品の販売体制を担うことはできません。
- 資格取得前のドラッグストアのアルバイト経験も使えますか?
-
一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下で所定の実務に従事していた期間は、管理者要件の従事期間に含められる場合があります。以前の勤務先に実務内容や証明の可否を確認してください。
- 月80時間働けないと研修中を終えられませんか?
-
一律にそうとはいえません。月80時間・160時間という基本的な計算を満たさない場合にも、月単位の従事期間と過去5年間合計1,920時間以上を組み合わせる判定方法があります。短時間勤務の方は勤務記録をもとに個別に確認してください。
- 研修中でも転職できますか?
-
研修中であること自体が転職を禁止する制度ではありません。ただし、転職先でも研修中か管理者要件を満たしているかによって人員配置上の扱いが異なるため、これまでの実務・業務経験や研修受講状況を正確に説明できるようにしておくことが大切です。
- 研修中でも継続的研修を受ける必要がありますか?
-
はい。厚生労働省の研修実施要領では、一般用医薬品の販売に従事する全ての登録販売者を継続的研修の対象としており、毎年度少なくとも計12時間以上の研修を受講させることとしています。
- 継続的研修と追加的研修は同じ研修ですか?
-
別です。継続的研修は一般用医薬品販売に従事する登録販売者が毎年度受ける研修です。追加的研修は、1年以上の従事期間で店舗管理者等となるルートなどで必要となる、法令遵守や店舗管理に関する研修で、少なくとも計6時間以上とされています。
- 5年以上のブランクがあると必ず研修中に戻りますか?
-
過去5年間を基準とする2年ルートや1年+研修ルートでは、以前の従事期間が判定対象から外れることがあります。ただし、過去の店舗管理者・区域管理者経験を用いるルートなどもあるため、ブランクが5年以上あるという理由だけで一律に判断することはできません。
まとめ|研修中は資格の優劣ではなく、管理者要件との関係で決まる
登録販売者の研修中は、初心者だから付けられる呼称でも、単純に資格取得から一定年数だけ続く期間でもありません。
第2類・第3類医薬品を扱う店舗では、厚生労働省通知が定める主な店舗管理者要件のいずれにも該当しない登録販売者が研修中として扱われます。
- 試験合格前の実務経験も要件判定に利用できる場合がある
- 店舗販売業では、その店舗に勤務中の薬剤師等による管理・指導が必要
- 研修中は店舗管理者の代行者にはなれない
- 2年ルート・1年+研修ルート・過去管理者経験ルートがある
- 80時間・160時間と1,920時間は単純なAND条件ではない
- 継続的研修と追加的研修は別の研修
- 管理者要件を満たすことと実際に店舗管理者になることは別
自分が研修中かどうかを確認するときは、試験合格日だけを見るのではなく、合格前の実務経験、合格後の業務経験、月ごとの勤務時間、累計従事時間、研修受講歴、過去の管理者経験を整理してください。
管理者要件の3ルート、実務経験と業務経験、80時間・160時間・1,920時間、実務・業務従事証明まで詳しく確認したい方は、登録販売者の実務経験とは?管理者要件を満たす方法を解説へ進んでください。
