登録販売者の実務経験とは?管理者要件・1,920時間・証明書を最新制度で解説

登録販売者の管理者要件を調べると、実務経験2年1,920時間月80時間月160時間追加的研修など、複数の条件が出てきます。

そのため、2年働いて1,920時間も必要なのか、パートで月80時間に届かないと経験が無効なのか、試験合格前の勤務経験は使えないのか、と混乱している方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、登録販売者の管理者要件は「2年+1,920時間」といった一つの計算式だけでは判断できません。

第2類・第3類医薬品を扱う店舗では、現在、主に3つの管理者要件があります。さらに、月80時間・160時間という基本的な期間算定と、それを満たさない勤務状況に対応する1,920時間の判定、本来の経過措置などが組み合わさっています。

最初に押さえたい結論
  • 実務経験は一般従事者として薬剤師・登録販売者の管理指導下で従事した経験
  • 業務経験は登録販売者として従事した経験
  • 実務経験=試験合格前、業務経験=試験合格後、と単純には分けられない
  • 第2・第3類医薬品を扱う店舗の管理者要件には主に3ルートある
  • 2年ルートの基本的な月数算定は月80時間以上
  • 1年+研修ルートの基本的な月数算定は月160時間以上
  • 月80時間・160時間に達しない場合にも、必要期間+過去5年間合計1,920時間を使う判定がある
  • 1,920時間だけ達成すれば管理者要件を満たすわけではない
  • 過去の管理者経験を使うルートと、本来の経過措置は別制度
  • 最終的には勤務先による実務・業務経験の証明が重要

本記事は2026年8月時点で、厚生労働省の医薬品の販売制度・登録販売者制度登録販売者制度の取扱い等について登録販売者に対する研修の実施要領についてを確認して作成しています。

なお、本記事では主として第2類・第3類医薬品を扱う店舗販売業の店舗管理者を説明します。第1類医薬品を扱う店舗には別の要件があるため、後半で分けて解説します。

目次

登録販売者の実務経験と管理者要件を最初に整理

登録販売者試験に合格したことと、店舗管理者になるための要件を満たしたことは同じではありません。

試験に合格して販売従事登録を行ったあとも、店舗管理者となるための要件を満たしていなければ、制度上は研修中の登録販売者として働くことになります。

その管理者要件を判断するときに中心になるのが、実務経験・業務経験を合わせた従事期間です。

用語意味
実務経験一般従事者として、薬剤師または登録販売者の管理・指導下で実務に従事した経験
業務経験登録販売者として医薬品販売等の業務に従事した経験
従事期間管理者要件の判定に使う、実務経験と業務経験の期間

ここで最初に修正したいのが、実務経験は試験合格前、業務経験は試験合格後という覚え方です。

分かりやすい目安にはなりますが、厚生労働省通知が区別している軸は、試験合格の前後ではなくどの立場で業務に従事していたかです。

実務経験と業務経験の違い

実務経験は一般従事者としての経験

厚生労働省通知でいう実務は、薬局・店舗販売業・配置販売業で、一般従事者として薬剤師または登録販売者の管理・指導下に実務へ従事した経験です。

そのため、登録販売者試験へ合格する前にドラッグストア等で一般従事者として勤務していた期間も、制度上の条件を満たせば従事期間として利用できます。

一方、単にドラッグストアでレジを担当していたという事実だけで、その勤務時間すべてが自動的に実務経験になるわけではありません。

薬剤師または登録販売者の管理・指導下で、制度上対象となる実務へ従事していたことが必要です。

業務経験は登録販売者としての経験

業務経験は、登録販売者として医薬品の販売等の業務に従事した期間です。

研修中の登録販売者として管理・指導を受けながら業務に従事している期間も、登録販売者としての業務経験に含まれ得ます。

つまり、管理者要件を満たすために必要なのは、店長として働いた期間だけではありません。一般従事者としての実務と、登録販売者としての業務を制度に沿って積み上げていきます。

一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」

どんな職場・仕事なら実務経験として認められる?

実務・業務経験の対象となるのは、厚生労働省通知上、主として次の医薬品販売の許可形態における経験です。

  • 薬局
  • 店舗販売業
  • 配置販売業

ここで重要なのは、ドラッグストア、スーパー、コンビニという業態名だけでは判断できないことです。

たとえばスーパーやコンビニで働いていても、その店舗が一般用医薬品を販売できる店舗販売業として許可を受け、制度上の条件を満たす業務へ従事していれば対象になる可能性があります。

反対に、医薬品販売を行っていないコンビニで一般商品のレジや品出しだけを担当していても、その勤務を登録販売者の管理者要件に必要な実務経験として扱うことはできません。

正社員・パート・アルバイトという雇用形態だけでは決まらない

管理者要件では、正社員かパートかという雇用契約の名称よりも、どこで、どの立場で、何時間、どのような業務に従事したかが重要です。

パート・アルバイトでも、制度上の要件を満たす実務・業務経験を積むことは可能です。

ただし勤務時間が短い場合には、後述する80時間・160時間・1,920時間の算定方法を正しく確認する必要があります。

第2類・第3類医薬品を扱う店舗の管理者要件は主に3ルート

第2類・第3類医薬品を販売する店舗では、店舗管理者は薬剤師または、次のいずれかの要件に該当する登録販売者である必要があります。

ルート主な要件過去5年間の制限
① 2年ルート従事期間の合計が通算2年以上あり
② 1年+研修ルート従事期間が通算1年以上+継続的研修・追加的研修を修了あり
③ 過去管理者経験ルート従事期間が通算1年以上+過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験従事期間自体は通知上「過去5年間」に限定されていない

それぞれを詳しく確認します。

① 過去5年間で従事期間2年以上のルート

最も基本的なルートは、過去5年間のうち、実務経験と業務経験を合わせた従事期間の合計が通算2年以上あるケースです。

このルートで月数を算定する基本的な考え方は、1か月に80時間以上従事した月を、管理者要件に必要な実務・業務に従事した月として数える方法です。

ここで注意したいのは、2年以上に加えて必ず1,920時間が必要という制度ではないことです。

月80時間以上の月を積み上げて2年以上となる場合と、月80時間に達しない勤務状況を含む場合に1,920時間を使って判定する方法は、分けて理解してください。

② 過去5年間で1年以上+所定の研修を修了するルート

2023年4月から、過去5年間のうち従事期間の合計が通算1年以上で、所定の研修を修了した登録販売者も店舗管理者となれるルートが設けられています。

必要になるのは、毎年度受講する継続的研修に加えて、店舗管理・法令遵守について行う追加的研修です。

このルートの基本的な月数算定は、1か月に160時間以上従事した月を数える方法です。

ただし、毎月160時間を必ず12回満たさなければ1年ルートを利用できない、という意味でもありません。勤務時間が変則的な場合に備えて1,920時間による別の判定方法があります。

③ 1年以上+過去の店舗管理者・区域管理者経験を使うルート

従事期間が通算1年以上あり、過去に店舗管理者または区域管理者として業務に従事した経験がある登録販売者についても、別の管理者要件があります。

このルートを、本当の意味での経過措置と混同しないよう注意してください。

厚生労働省の現行通知では、これは主な3ルートのうちの通常のiiiとして規定されています。

また、過去管理者経験ルートについても、月当たりの時間数にかかわらず月単位の従事期間が通算1年以上あり、かつ合計1,920時間以上従事している場合に、iiiの要件を満たしたものとみなせる取扱いがあります。

3ルートの一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」3.店舗管理者及び区域管理者の指定

管理者経験ルートとは別に本当の経過措置がある

登録販売者制度には、通常の3ルートとは別に経過措置があります。

厚生労働省通知では、店舗管理者・区域管理者の経験がない場合でも、一定の長期経験と研修実績を持つ登録販売者について、当分の間、過去管理者経験ルートに該当する登録販売者とみなす仕組みを設けています。

経過措置の主な考え方
  • 2009年6月1日以降の従事期間が通算5年以上
  • 所定の研修と同等以上の研修を通算5年以上受講
  • 基本的な期間算定は月80時間以上
  • 月80時間の条件を満たさない場合には、月単位の従事期間5年以上+合計4,800時間以上という判定もある

長年登録販売者として働いているものの、過去の店舗管理者経験が確認できない方などは、通常の3ルートだけで判断せず、経過措置への該当可能性も確認してください。

一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」6.経過措置

80時間・160時間・1,920時間の関係を正しく理解する

管理者要件で最も誤解されやすいのが、この3つの数字です。

ポイントは、80時間・160時間と1,920時間を、すべて同時に満たす必須条件として読まないことです。

数字主な意味
月80時間2年ルートで月を算定する基本条件
月160時間1年+研修ルートで月を算定する基本条件
1,920時間月80時間・160時間の基本条件を満たさない勤務状況等で使われる代替的な判定要素

2年ルートは月80時間以上が基本

2年ルートでは、1か月に80時間以上従事した場合に、その月を必要な実務・業務に従事したものとして認めるのが基本です。

この方法で過去5年間に通算2年以上の従事期間を満たすのであれば、さらに別条件として1,920時間を追加するという構造ではありません。

1年+研修ルートは月160時間以上が基本

1年+研修ルートでは、1か月160時間以上従事した場合に、その月を必要な実務・業務に従事したものとして認めるのが基本です。

正社員等で毎月の勤務時間が安定している場合は、この方法で判断しやすくなります。

月80時間・160時間に達しない場合の1,920時間判定

一方、パート勤務などで毎月の勤務時間にばらつきがある場合には、別の判定があります。

厚生労働省通知では、月当たりの時間数にかかわらず月単位で従事した期間が必要な1年以上または2年以上あり、さらに過去5年間の従事時間が合計1,920時間以上であれば、それぞれ1年以上または2年以上の従事期間を満たしたものとみなして差し支えないとしています。

つまり、月80時間未満の月が含まれているから、その期間がすべて無意味になるわけではありません。

一方で、1,920時間に達したから期間要件を無視できるわけでもありません。

1,920時間の誤解を整理
  • 2年+1,920時間が常に必要 → 誤り
  • 1年+1,920時間だけでよい → 研修要件などもあるため不十分
  • 80時間未満の月はすべてゼロ → 一律にはいえない
  • 1,920時間さえあれば月数不要 → 誤り

ケース別|自分の従事期間をどう確認する?

勤務パターン別に、何を確認すればよいか整理します。

ここでは特定の勤務時間から最短○年○か月と断定しません。実際の従事期間、業務内容、証明書類によって結果が変わるためです。

ケース1|毎月80時間以上で安定して働いている

2年ルートを確認する場合は、過去5年間のうち月80時間以上従事した月がどのくらいあるかを確認します。

必要な月数を満たしているか、実務・業務の内容が制度上の対象となっているか、勤務先から証明を受けられるかを確認してください。

ケース2|毎月160時間以上で働いている

1年+研修ルートを検討する場合は、月160時間以上の従事月を確認し、過去5年間で通算1年以上あるかを確認します。

さらに継続的研修と追加的研修の修了が必要です。

ケース3|月によって80時間・160時間を下回る

月の勤務時間が変動する場合は、1,920時間による判定が使える可能性があります。

過去5年間の月単位の従事期間と、同じ5年間の合計従事時間を両方確認してください。

ケース4|扶養内・短時間パート

短時間勤務だから管理者要件を満たせない、と一律に考える必要はありません。

ただし、週何日・1日何時間という情報だけで達成時期を決めることもできません。

実際の月数、時間数、過去5年間という期間、制度上対象となる実務・業務であることを確認します。

ケース5|試験合格前からドラッグストアで勤務している

一般従事者として薬剤師・登録販売者の管理指導下で制度上対象となる実務へ従事していた場合、その期間を従事期間に含められる可能性があります。

資格取得日からゼロスタートと決めつけず、合格前の勤務についても証明可能か確認してください。

複数の勤務先・転職歴がある場合はどうなる?

ドラッグストアを転職した経験がある方や、複数店舗で働いている方は、経験を合算できるのかが気になるところです。

結論として、複数の勤務先で積んだ実務・業務経験を制度上確認対象にできる場合はありますが、勤務時間を単純に足せばよいとは限りません。

勤務先が変われば、それぞれの勤務先で証明が必要

厚生労働省Q&Aでは、業者や店舗を変更した場合、それぞれの店舗で証明が必要としています。

以前の勤務先の経験を使う場合は、現在の勤務先だけでなく過去の勤務先にも証明を依頼することになります。

A店40時間+B店40時間=自動的に月80時間とは考えない

月80時間を使った従事期間の算定について、厚生労働省Q&Aでは、一般従事者等の一定の実務について、最低限、同一月中に同一業者・同一店舗で80時間以上行った場合にその月を経験として扱う考え方を示しています。

そのため、複数勤務先の時間を機械的に足して、その月を1か月と自己判定することは避けてください。

現在は1,920時間による別の算定もあるため、複数職場・変則勤務の場合は、勤務先の証明と所管行政の確認を含めて判断するのが安全です。

参考:厚生労働省「登録販売者制度に関するQ&Aについて」

ブランクがある場合はどう考える?

2年ルートと1年+研修ルートは、原則として過去5年間の従事期間を使います。

そのため、以前に十分な経験があっても、長いブランクによって過去5年間の判定対象から外れる期間が出てくることがあります。

一方で、過去に店舗管理者・区域管理者として働いていた場合は、通常の過去5年ルートとは別の管理者経験ルートを検討できます。

さらに一定の長期経験・研修実績がある場合は、経過措置に該当する可能性もあります。

5年以上空いたら必ずすべてゼロからと単純化しないことが重要です。

1年ルートで必要な継続的研修と追加的研修

1年以上の従事期間で店舗管理者を目指すルートでは、勤務経験だけでなく研修修了も必要です。

研修時間主な位置づけ
継続的研修毎年度12時間以上一般用医薬品販売に従事する全ての登録販売者が対象
追加的研修6時間以上1年以上2年未満の従事期間で店舗管理者等を目指す者を主対象とする管理・法令遵守研修

継続的研修は毎年度12時間以上

厚生労働省の研修実施要領では、一般用医薬品の販売に従事する全ての登録販売者を継続的研修の対象としています。

一般用医薬品販売業者等は、対象者に毎年度少なくとも計12時間以上、定期的・継続的に研修を受講させる必要があります。

追加的研修は6時間以上

追加的研修は、1年以上2年未満の従事期間で店舗管理者等となることを希望する登録販売者を主な対象としています。

厚生労働省の実施要領では、次の3領域を踏まえ、合計6時間以上としています。

  • ガバナンス・法規・コンプライアンス等の基本知識に関する講義
  • 販売現場・店舗管理に即したコミュニケーションに関する演習
  • 店舗管理者等に求められる対応についてのケーススタディ

オンライン受講は可能だが、全て同じ方式ではない

追加的研修は対面でもオンラインでも実施できます。

ただしオンラインで実施する場合、コミュニケーション演習とケーススタディについては、映像・音声を相互に送受信し、相手の状態を互いに認識しながら通話できる方法で行うことが求められています。

したがって、追加的研修の全6時間が必ずライブ配信でなければならないと一括して説明するのも正確ではありません。

研修機関は都道府県の認定制ではなく厚生労働大臣への届出制

研修実施機関は、厚生労働大臣への届出を行う制度になっています。

厚生労働省の登録販売者制度ページでは、届出済み研修実施機関一覧も公表されています。

研修先を確認する場合は、厚生労働省「医薬品の販売制度」内の届出済み研修実施機関一覧を確認してください。

研修の一次資料:厚生労働省「登録販売者に対する研修の実施要領について」

実務・業務従事証明書とは?働いた事実だけでは不十分

管理者要件で見落としやすいのが証明です。

自分では2年間働いたつもりでも、管理者要件の確認では、制度上対象となる実務・業務にどのくらい従事したのかを客観的に確認できることが重要です。

厚生労働省通知では、店舗販売業者等に対し、従事者から証明を求められた場合に速やかに証明を行い、その証明に必要な記録を保存するよう定めています。

登録販売者としての業務経験は勤務先が証明する

登録販売者として業務に従事した経験については、店舗販売業者等がその業務経験を証明します。

厚生労働省通知では、業務経験の証明について別紙様式2を用いることが適当としています。

一般従事者としての実務経験も勤務先が証明する

一般従事者として薬剤師・登録販売者の管理指導下で実務へ従事した経験についても、勤務していた店舗販売業者等による証明が必要になります。

こちらは通知上、別紙様式3を用いることが適当とされています。

以前の勤務先へ証明を依頼する場合もある

転職している場合、以前の勤務先で積んだ経験を使うためには、その勤務先へ証明を依頼する必要が生じます。

退職から時間がたって初めて確認するより、在職中から自分の実務・業務の期間、勤務時間、研修歴を記録しておくことをおすすめします。

店舗管理者として届け出る際には別の確認書類も使われる

店舗販売業の許可申請や変更届で、登録販売者を店舗管理者とする場合には、その者が管理者要件を満たしていることを示す実務・業務経験等の証明書類が必要になります。

過去管理者経験ルートや経過措置等では、別紙様式4・5などによる確認書類が用いられます。

具体的にどの書類を提出するかは、店舗の許可形態や利用する要件によって異なるため、実際の申請・変更届では所管自治体の案内も確認してください。

証明に関する一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」2.実務又は業務の証明及び記録

第1類医薬品を扱う店舗は管理者要件が異なる

ここまで説明した主な3ルートは、第2類・第3類医薬品を販売する店舗を中心とした要件です。

第1類医薬品を販売する店舗の店舗管理者は、原則として薬剤師です。

ただし、薬剤師を店舗管理者とすることができない場合には、一定の登録販売者を例外的に店舗管理者とすることができる制度があります。

厚生労働省通知では、過去5年間のうち、第1類医薬品等を扱う一定の薬局・店舗・区域での登録販売者としての業務経験や、第1類医薬品を扱う店舗・区域の管理者経験について、所定の期間が通算3年以上あることなどを求めています。

基本的な時間算定は月80時間以上で、これを満たさない勤務状況については、必要な月単位の期間3年以上に加え、過去5年間合計2,880時間以上による判定も設けられています。

この要件は一般的な第2・第3類店舗の管理者要件より複雑なため、第1類医薬品を扱う店舗の管理者を想定している場合は、必ず所管行政と個別に確認してください。

一次資料:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」3.店舗管理者及び区域管理者の指定

管理者要件を満たしても自動的に店舗管理者になるわけではない

実務・業務経験や研修の要件を満たしたら、翌日から自動的に店舗管理者へ就任するわけではありません。

管理者要件を満たすことは、制度上、店舗管理者として選任可能な登録販売者になることです。

薬機法では、店舗管理者は必要な能力・経験を有する者でなければならないとされ、店舗販売業者には適切な管理者を選任することが求められています。

特に1年以上2年未満+研修ルートで新たに管理者要件を満たした登録販売者についても、事業者が資質を適切に確認することが望ましいとされています。

要件充足と実際の役職就任を分けて理解してください。

管理者要件を満たしていない場合は研修中の登録販売者

第2類・第3類医薬品を扱う店舗について、主な店舗管理者要件のいずれにも該当しない登録販売者は、厚生労働省通知上、研修中の登録販売者として扱われます。

研修中は、その店舗に勤務中の薬剤師または研修中ではない登録販売者の管理・指導下で業務に従事する必要があり、店舗管理者の代行者にもなれません。

研修中にできること・できないこと、名札表示、一人で医薬品を販売できるかなどについては、登録販売者の研修中はいつまで?できること・できないことと管理者要件を解説で詳しく解説しています。

元人事担当者として実務上確認していたこと

ここからは法令上のルールではなく、私自身が調剤薬局チェーンで人事を担当していた際の経験として補足します。

登録販売者について確認するとき、本人が「管理者になれます」と認識しているかだけでなく、従事期間や勤務歴、必要な証明書類などを実際に確認する必要がありました。

特に転職経験がある方では、本人が覚えている勤務年数と、制度上証明できる実務・業務経験が必ずしも同じとは限りません。

そのため、管理者要件をキャリア上重要な条件として使うのであれば、早い段階から次の情報を整理しておくことが実務上役立ちます。

  • 勤務した店舗・会社
  • 勤務期間
  • 月ごとの勤務時間
  • 一般従事者だった期間
  • 登録販売者として働いた期間
  • 研修受講履歴
  • 過去の店舗管理者・区域管理者経験
  • 以前の勤務先から証明を取得できるか

ただし、何を採用・配置上重視するかは企業ごとに異なります。ここで述べた内容は、私自身の人事経験としての補足です。

自分が管理者要件を満たしているか確認するチェックリスト

最後に、自分の状態を順番に確認してみましょう。

  • 一般従事者としての実務経験を整理した
  • 登録販売者としての業務経験を整理した
  • 過去5年間の従事期間を確認した
  • 月80時間・160時間の基本算定で何か月あるか確認した
  • 勤務時間が変則的なら過去5年間合計1,920時間も確認した
  • 1年ルートなら継続的研修・追加的研修を修了している
  • 過去の店舗管理者・区域管理者経験を確認した
  • 必要に応じて経過措置への該当可能性を確認した
  • 勤務先から実務・業務経験の証明を取得できるか確認した
  • 複数勤務先がある場合は各勤務先の証明を確認した
  • 判断が難しい場合は所管自治体へ確認する

このチェックを行うことで、単純に何年働いたかだけでなく、制度上の管理者要件に沿って現在地を整理できます。

登録販売者の実務経験・管理者要件についてよくある質問

登録販売者試験に合格する前のアルバイト経験も実務経験になりますか?

一般従事者として、薬局・店舗販売業・配置販売業で薬剤師または登録販売者の管理・指導下に制度上対象となる実務へ従事していた場合、その期間を従事期間として利用できる可能性があります。単にドラッグストアに在籍していた期間ではなく、実際の業務内容と勤務先による証明を確認してください。

パートやアルバイトでも管理者要件を満たせますか?

雇用形態だけで対象外になる制度ではありません。実務・業務の内容、従事期間、勤務時間、研修などの条件を満たしているかで判断します。勤務時間が短い場合は、月80時間・160時間の基本算定だけでなく、1,920時間を用いる判定も確認してください。

月80時間未満の月は実務経験として全て無効ですか?

一律に無効とはいえません。月80時間・160時間の基本条件を満たさない勤務状況でも、月単位の必要な従事期間があり、過去5年間合計1,920時間以上従事していれば、1年以上または2年以上の従事期間を満たしたものとみなせる取扱いがあります。

1,920時間働けば管理者要件を満たせますか?

1,920時間だけでは判断できません。1,920時間を用いる判定でも、月単位で必要な1年以上または2年以上の従事期間などを確認します。1年ルートの場合は継続的研修・追加的研修の修了も必要です。

複数のアルバイト先の勤務時間を合算できますか?

複数勤務先での経験が制度上利用できる場合はありますが、各店舗の勤務時間を単純に足して1か月の80時間・160時間を満たすと自己判断するのは避けてください。勤務先が変わる場合はそれぞれの勤務先による証明が必要です。具体的な月数・時間の扱いは勤務状況によって異なるため、所管自治体への確認もおすすめします。

追加的研修はどこで受講できますか?

厚生労働大臣へ届出を行った研修実施機関が実施します。厚生労働省の登録販売者制度ページに届出済み研修実施機関一覧が掲載されているため、最新一覧から確認してください。

5年以上のブランクがあると実務経験は全て使えませんか?

2年ルート・1年+研修ルートでは過去5年間の従事期間を使うため、古い期間が判定対象から外れることがあります。一方、過去の店舗管理者・区域管理者経験を用いるルートや、一定の長期経験・研修実績を対象とする経過措置もあるため、ブランク期間だけで一律に判断することはできません。

管理者要件を満たしたら、すぐ店舗管理者になれますか?

管理者要件を満たすことと、実際に店舗管理者へ選任されることは別です。店舗販売業者は、必要な能力・経験を踏まえて適切な店舗管理者を選任する必要があります。

まとめ|管理者要件は年数だけでなく期間・時間・研修・証明で確認する

登録販売者の管理者要件は、単純に2年間働けばよい、1,920時間働けばよい、という制度ではありません。

  • 実務経験と業務経験は従事時の立場で区別する
  • 第2・第3類店舗には主に3つの管理者要件がある
  • 2年ルートは月80時間、1年ルートは月160時間が基本的な期間算定
  • 変則勤務には必要期間+1,920時間による判定がある
  • 過去管理者経験ルートと経過措置は別
  • 1年ルートには継続的研修と追加的研修が必要
  • 複数勤務先では勤務先ごとの証明が重要
  • 管理者要件を満たしても、自動的に店舗管理者へ就任するわけではない

特に重要なのは、自分が何年働いたと思っているかではなく、制度上どの経験を証明できるかです。

勤務歴・勤務時間・研修受講歴・証明書を整理し、必要に応じて勤務先や所管自治体に確認してください。

次に確認したい記事

まだ管理者要件を満たしておらず、研修中の働き方や制限を知りたい方:
登録販売者の研修中はいつまで?できること・できないことと管理者要件を解説

管理者要件を満たした後の年収・働き方・キャリア全体を考えたい方:
登録販売者のキャリア完全ガイド|年収・将来性・キャリアパスを解説

この記事で確認した主な一次資料

この記事を書いた人

大学講師として登録販売者試験講座を担当した経験を持つ。薬剤師と元大学講師としての目線で登録販売者試験に合格するための戦略を発信。

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