強心薬・高コレステロール改善薬の成分|試験頻出ポイント

【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • 強心薬の生薬成分は「基原となる動物」とセットで覚える
  • 高コレステロール薬は「腸管か肝臓か」作用部位で区別する
  • 受診勧奨のボーダーライン(5〜6日と1〜3ヶ月)を押さえる
目次

この2分野を攻略することで、第3章の得点源を作りやすくなる

「第3章の成分が多すぎて、どこから手をつければいいか分からない」

試験対策を進める受験生から、最も多く聞く言葉のひとつです。強心薬と高コレステロール改善薬は出題範囲の中でもコンパクトな単元ですが、毎年1〜2問が安定して出題されます。厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」に沿って整理すれば、比較的短い学習時間で得点できる、いわば「コスパの高い単元」です。この記事では、成分ごとの作用と試験で狙われるポイントを体系的に解説します。直前期の最終確認にも役立てていただける構成にしていますので、ぜひブックマークしてください。

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強心薬の生薬成分は「基原の動物」で整理する

強心薬は、疲労やストレスによる軽度の心臓の働きの乱れを改善する医薬品です。心筋に直接作用してその収縮力を高める成分(強心成分)を主体として配合されており、ほぼすべてが生薬由来という点が特徴です。

生薬成分を覚えるうえで最も効率が良い視点は「何の動物から作られるか」です。動物の種類と成分名をセットで押さえてしまえば、基原を問う問題にも即対応できます。

厚生労働省の手引きに記載されている主要4成分を整理します。

①センソ(蟾酥)
ヒキガエル科のアジアヒキガエル等の耳腺の分泌物を集めた生薬です。微量で強い強心作用を示す反面、有効域が比較的狭いという特徴があります。1日用量中センソが5mgを超えると劇薬に指定されます。一般用医薬品では1日用量5mg以下に規定されています。

試験で出やすいのが「口の中で噛み砕いてはいけない」という服用方法です。皮膚や粘膜に触れると局所麻酔作用を示すため、内服固形製剤を口の中で噛み砕くと舌などが麻痺することがあります。

②ジャコウ(麝香)
シカ科のジャコウジカの雄の麝香腺分泌物が基原です。強心作用に加えて、「呼吸中枢を刺激して呼吸機能を高める」「意識をはっきりさせる」という作用が問われます。後者の「意識をはっきりさせる」はジャコウ特有の作用として出題頻度が高い内容です。

③ゴオウ(牛黄)
ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石が基原です。強心作用のほか、「末梢血管の拡張による血圧降下」「興奮を鎮める」という作用を持ちます。漢字で「牛黄」と書くため、「牛から採れる」という点は比較的覚えやすいと思います。

④ロクジョウ(鹿茸)
シカ科(Cervus nippon Temminck等)の同属動物の雄鹿の、角化していない幼角が基原です。強心作用のほか「強壮」「血行促進」の作用があります。ジャコウも鹿の仲間から取れる生薬であるため、基原の記述を入れ替えた問題が出やすいポイントです。ジャコウは「ジャコウジカの麝香腺分泌物」、ロクジョウは「マンシュウジカ等の幼角」と明確に区別して覚えましょう。

成分名 基原・由来動物 主な作用・試験対策ポイント
センソ(蟾酥) アジアヒキガエル等の耳腺の分泌物 微量で強い強心作用(1日5mg以下)。噛み砕くと舌が麻痺するため噛まずに服用。
ジャコウ(麝香) ジャコウジカ(雄)の麝香腺分泌物 強心作用、呼吸機能を高める。特有の作用として「意識をはっきりさせる」が頻出。
ゴオウ(牛黄) ウシの胆嚢中に生じた結石 強心作用、末梢血管の拡張による血圧降下。興奮を鎮める作用あり。
ロクジョウ(鹿茸) シカ科同属動物(雄)の幼角 強心作用、強壮、血行促進。ジャコウの基原との入れ替え問題に注意。

強心薬:長期使用のリスクと相互作用を押さえる

強心薬の使用にあたり、長期使用のリスクも手引きに明記されています。強心作用が増強されて心臓に負担が生じたり、副作用が現れやすくなるおそれがあることから、漫然と長期使用しないことが使用上の重要な注意点です。

また、強心薬を使用する際には、同じ生薬成分を含む他の医薬品との併用に注意が必要です。センソ・ゴオウ・ロクジョウなどは、滋養強壮保健薬や小児五疳薬にも配合されている場合があるため、「既にそのような薬を飲んでいる」というお客様には、重複使用のリスクを説明することが実務上も求められます。試験でもこの相互作用の観点は出題されます。


強心薬の補助成分:リュウノウとシンジュも確認する

強心成分の働きを助ける成分として、リュウノウシンジュが配合されることがあります。

リュウノウは、中枢神経系の刺激作用による「気つけ」の効果を期待して用いられます。リュウノウ中に存在する主要な物質であるボルネオールが配合される場合もあります。

シンジュはウグイスガイ科のアコヤガイ等の外套膜組成中に病的に形成された顆粒状物質が基原で、鎮静作用を期待して配合されます。

これらは頻出の4成分(センソ・ジャコウ・ゴオウ・ロクジョウ)と比べると出題頻度は低めですが、「補助成分として使われる」という位置付けは押さえておきましょう。

強心薬の使用目安は5〜6日間です。この期間使用しても症状の改善がみられない場合は、心臓以外の要因が考えられるため医療機関への受診を勧奨することが重要です。

補助成分名 基原・由来 主な作用
リュウノウ (主要物質としてボルネオール) 中枢神経系の刺激作用による「気つけ」の効果。
シンジュ(真珠) アコヤガイ等の外套膜中の顆粒状物質 鎮静作用等を期待して配合される。

高コレステロール改善薬:「どこで作用するか」で一気に整理する

高コレステロール改善薬は、生活習慣に起因する高コレステロール状態を改善することを目的とした医薬品です。コレステロールの産生および代謝は主として肝臓で行われるという基本知識も確認しておきましょう。

試験で混乱しやすいのが、LDLとHDLの関係です。LDL(低密度リポタンパク質)は悪玉コレステロールとして肝臓から末梢組織へコレステロールを運び、HDL(高密度リポタンパク質)は善玉コレステロールとして末梢組織から肝臓へコレステロールを回収します。LDLが多くHDLが少ない状態が、動脈硬化症などの生活習慣病につながります。

この方向性を理解したうえで成分を見ると、各成分の「どちらの方向に働くか」が明確になります。この分野の成分は「腸管で作用」「肝臓で作用」という視点で仕分けると覚えやすくなります。

腸管で作用する成分

大豆油不けん化物(ソイステロール)は、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える働きがあるとされます。「大豆→腸で吸収を抑える」というイメージで記憶しましょう。

肝臓でコレステロール代謝を促す成分

リノール酸ポリエンホスファチジルコリンは、コレステロールと結合して代謝されやすいコレステロールエステルを形成するとされ、肝臓におけるコレステロールの代謝を促す効果を期待して配合されます。この2成分は「同じ作用を期待する成分」として一緒に覚えると整理しやすいです。

LDL・HDLに直接働く成分

パンテチンは、試験で最も出題頻度が高い成分です。作用は「LDL等の異化排泄を促進し、リポタンパクリパーゼ活性を高めて、HDL産生を高める」です。LDLは悪玉、HDLは善玉と理解していれば、「悪玉を分解して善玉を増やす」というシンプルなイメージで覚えられます。

ビタミン系の成分

ビタミンB2(リボフラビン)は、コレステロールの生合成抑制と排泄・異化促進、中性脂肪抑制などの作用があるとされます。試験では「リボフラビン」という別名で出題される傾向があります。

ビタミンEは、過酸化脂質の生成を抑えるほか、末梢血管における血行を促進する作用があるとされます。コレステロール改善薬だけでなく、痔の改善薬など他の分野でも登場する成分です。

作用の方向性 成分名 試験対策ポイント
腸管での吸収抑制 大豆油不けん化物
(ソイステロール)
腸管におけるコレステロールの吸収を抑える。「大豆=腸」と覚える。
肝臓での代謝促進 リノール酸
ポリエンホスファチジルコリン
代謝されやすいエステルを形成し、肝臓での代謝を促す。2つセットで覚える。
LDL/HDLに作用 パンテチン 頻出。悪玉(LDL)の排泄を促し、善玉(HDL)の産生を高める。
ビタミン系 ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンE
B2は生合成抑制と排泄促進。Eは過酸化脂質抑制と末梢血行促進。

試験で狙われる「成分の入れ替え」パターン

私が大学の対策講座で指導している際に気づいたのは、この分野の問題は成分と作用の記述が入れ替わって出題されるパターンが非常に多いということです。

特に注意が必要な入れ替えを3点まとめます。

入れ替えパターン①
パンテチンの記述が「腸管でのコレステロール吸収を抑える」と書かれているケースです。腸管で吸収を抑えるのは大豆油不けん化物(ソイステロール)です。パンテチンはあくまでLDL/HDLに作用します。

入れ替えパターン②
ジャコウとロクジョウの基原が入れ替わるケースです。「ジャコウジカの幼角」という誤りに引っかかりやすいため注意してください。ジャコウは麝香腺分泌物、ロクジョウはシカ科の同属動物の幼角です。

入れ替えパターン③
「センソは口中で噛み砕いて服用する」という誤りの記述です。舌が麻痺するため、噛まずに服用しなければなりません。


受診勧奨の目安期間:数字を確実に押さえる

登録販売者試験では、受診勧奨に関する数字が問われます。強心薬と高コレステロール改善薬それぞれの目安を整理しましょう。

強心薬:5〜6日間使用して症状の改善がみられない場合は受診を勧奨します。

高コレステロール改善薬:1〜3ヶ月服用しても改善がみられない場合は受診を勧奨します。

この期間の違いは試験で狙われやすいポイントです。なお、高コレステロール改善薬は生活習慣の改善(食事療法・運動)と並行して使用することが基本であり、薬のみで問題が解決するものではないという点も重要な知識です。


合格後の実務でも直結する知識

これまで登録販売者を面接してきた経験から言えば、強心薬や高コレステロール改善薬の知識は、ドラッグストアの現場で「お客様に薬を選ぶ際のアドバイス」として直結します。

「動悸がするけど、強心薬を買いたい」と来店された方に対し、5〜6日経っても改善しなければ受診を促す、という対応が求められます。試験の知識をそのまま実務に活かせる分野だからこそ、しっかりと理解して覚えておく価値があります。

本記事で解説した内容はすべて、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」の範囲内に基づいています。試験直前期に見返すポイントとして、以下の3点を改めて確認しましょう。

直前チェック① センソの5mgと「噛まずに服用」

直前チェック② パンテチン=LDL分解・HDL産生増加(腸管ではない)

直前チェック③ 受診勧奨:強心薬は5〜6日、高コレステロールは1〜3ヶ月

試験対策講座を活用すれば、このような頻出ポイントを体系的に整理し、効率よく学習を進める助けになります。独学で進めている方が「成分が多くて混乱している」と感じているなら、プロの解説で一度整理し直すことが、得点力を伸ばす近道になります。

強心薬と高コレステロール改善薬の分野は、出題数が少ないので捨てても問題ないですか?

絶対に捨ててはいけません。出題範囲がコンパクトな割に毎年1〜2問が安定して出題されるため、実は最もコスパ良く得点源にできる分野です。「基原」と「作用部位」の法則さえ掴めば、暗記量も最小限で済みます。

独学だと第3章の成分が多すぎて、丸暗記に行き詰まっています。効率的な学習方法はありますか?

独学で第3章の膨大な成分に圧倒されてしまう方は非常に多いです。プロの解説で成分のグループ分けや試験特有の引掛けパターンを学ぶと、一気に視界が開け得点が伸びますよ。効率よく一発合格を狙いたい方は、「登録販売者おすすめ通信講座3選|元大学講師の薬剤師が本音で比較」の記事で、自分の学習スタイルに合う講座を探してみてください。

高コレステロール改善薬の「パンテチン」と「大豆油不けん化物」の違いがどうしても覚えられません。

作用する「場所」で明確に区別しましょう。パンテチンは「血中」で働き、悪玉(LDL)を分解し善玉(HDL)を増やします。一方の大豆油不けん化物は「腸管」からの吸収を抑える成分です。「パンテチン=血中」「大豆=腸管」と場所を紐付けると引掛け問題に騙されなくなります。

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この記事を書いた人

大学講師として登録販売者試験講座を担当した経験を持つ。薬剤師と元大学講師としての目線で登録販売者試験に合格するための戦略を発信。

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