登録販売者試験について調べると、全国合格率は40%台という数字をよく見かけます。
この数字だけを見ると、2人に1人近くが合格するなら比較的簡単なのでは、と感じる方もいれば、半数以上が不合格なら難しい試験なのでは、と感じる方もいるでしょう。
しかし、登録販売者試験の難易度を合格率だけで判断するのは適切ではありません。
登録販売者試験は、受験者ごとに医薬品知識や学習経験が異なるうえ、都道府県等によって試験問題や合格基準の具体的な設定も異なります。さらに、厚生労働省の全国集計は同じ人が複数地域で受験した場合を含む延べ人数です。
私は薬剤師として医薬品に関わり、大学では登録販売者資格対策講座を担当してきました。本記事では、厚生労働省と自治体の一次資料を基準に、登録販売者試験は何が難しいのか、合格率をどう読めばよいのかを整理します。
- 厚生労働省が現在公表する全国公式集計の最新値は令和6年度46.7%
- 令和6年度は54,526人が受験し、25,459人が合格
- 全国集計の受験者数・合格者数は延べ人数で、同一人物の複数受験を含む可能性がある
- 2025年度の自治体結果もすでに公表されているが、厚生労働省の全国公式集計は本記事確認時点で未掲載
- 都道府県等で合格率に差があっても、合格率だけで問題自体の難易度を断定できない
- 試験は全5章・120問で、第3章は40問と問題数が多い
- 総得点だけでなく、制度上は各試験項目にも合格基準がある
- 受験資格の学歴・実務経験要件は現在なく、受験者のスタート地点は大きく異なる
本記事は2026年8月20日時点で、厚生労働省のこれまでの登録販売者試験実施状況等について、登録販売者試験実施要領、試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)を確認して作成しています。
登録販売者試験の難易度は?まず結論
登録販売者試験を、簡単な試験・難関試験のどちらか一方に分類するのはおすすめしません。
試験の特徴を分解すると、次のようになります。
| 観点 | 特徴 |
|---|---|
| 受験資格 | 現在は学歴・実務経験による受験要件なし |
| 試験範囲 | 全5章・120問。医薬品、人体、法規、安全対策まで広い |
| 全国公式合格率 | 令和6年度46.7% |
| 合格判定 | 総得点に加え、各試験項目にも基準あり |
| 問題 | 厚労省の共通手引きを基礎に都道府県等が実施 |
| 受験者 | 医薬品知識ゼロの人から実務経験者まで幅がある |
つまり、受験するための入口は広い一方、試験範囲は広く、一定水準の知識を5領域にわたって確認される試験です。
受験資格がないから簡単とも、合格率が40%台だから難関とも、一つの数字だけでは判断できません。
登録販売者試験の最新公式合格率は46.7%
厚生労働省が現在公表している全国公式集計の最新値は、令和6年度です。
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 54,526人 | 25,459人 | 46.7% |
一次資料:厚生労働省|これまでの登録販売者試験実施状況等について
令和6年度は、受験者の半数弱が合格した計算になります。
ただし、この数字をそのまま個人の合格確率と考えないことが重要です。
受験者数・合格者数は延べ人数
厚生労働省の令和6年度資料には、全国計について重要な注意書きがあります。
同一人物が複数の試験を受験し、複数の試験で合格している可能性があるため、受験者数・合格者数の全国計は延べ人数です。
つまり、54,526人すべてが別々の人物とは限りません。
この点からも、全国合格率46.7%を一人の受験生の合格確率へそのまま置き換えることはできません。
2025年度の結果は?厚労省全国集計と自治体公表値を分けて考える
2025年度、令和7年度の試験については、各自治体・実施主体からすでに結果が公表されています。
一方、2026年8月20日時点で、厚生労働省の全国実施状況ページに掲載されている最新の全国集計は令和6年度までです。
したがって、本記事では2025年度の自治体結果と、厚生労働省の全国公式集計を混同しません。
2025年度に自治体が公表した実施結果の例
| 実施主体 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,598人 | 875人 | 54.8% |
| 東京都 | 4,186人 | 1,671人 | 39.9% |
| 千葉県 | 3,127人 | 1,075人 | 34.4% |
| 関西広域連合 | 9,244人 | 3,570人 | 38.6% |
| 福岡県 | 4,138人 | 1,127人 | 27.2% |
この表は全国ランキングを作るためのものではありません。
2025年度についても、実施主体ごとの合格率には幅があることを、自治体一次資料で確認するための例です。
各自治体が公表した結果を集計した教育機関等では、2025年度の全国合格率を40.7%とする集計も公表されています。
ただし、本記事確認時点では厚生労働省の全国公式集計として掲載された数字ではありません。そのため、本記事では46.7%を最新の厚労省全国公式値、2025年度は自治体公表値を補助情報として区別します。
全国合格率は40%台を中心に推移している
登録販売者試験は、単年度だけを見るより複数年度で確認した方が難易度を考えやすくなります。
厚生労働省の過去の試験実施状況を見ると、全国合格率は年度ごとに上下しています。
ただし、合格率が前年より上がったから試験問題が易しくなった、下がったから難しくなった、と直ちに判断することはできません。
受験者構成や実施地域なども毎年同一ではないためです。
過去年度の一次資料は厚生労働省「これまでの登録販売者試験実施状況等について」から確認できます。
合格率だけで試験の難易度を判断できない3つの理由
理由1|受験者のスタート地点が同じではない
現在の登録販売者試験では、受験に際して学歴や実務経験による資格要件はありません。
東京都の2026年度試験Q&Aでも、平成27年度以降は特定の教育課程修了や実務経験等の要件が不要になったことが案内されています。
そのため、受験者には、
- 医薬品知識がほとんどない初学者
- ドラッグストア等で勤務している人
- 以前に受験した経験がある人
- 薬学・医療系の知識がある人
など、異なる背景の人が含まれます。
全国平均合格率は、学習開始地点が異なる受験者をまとめた結果です。
理由2|実施主体ごとに同じ試験問題とは限らない
登録販売者試験は、厚生労働省が定める共通の試験実施要領と手引きを基礎として都道府県等が実施します。
厚生労働省は、都道府県によって難易度等に格差が生じないようにし、内容について一定の水準を保つことを試験制度の趣旨として明記しています。
また、都道府県が共同して試験問題を作成することについても、難易度等の格差を生じさせないために有効な方法としています。
一次資料:厚生労働省「登録販売者試験実施要領」
したがって、地域別合格率に差があったとしても、その差がそのまま問題の難しさだけを示しているとはいえません。
理由3|全国集計は延べ人数
登録販売者試験は地域によって試験日が異なる場合があります。
厚生労働省の全国集計は、同一人物が複数の試験を受験する可能性を考慮し、受験者数・合格者数を延べ人数として集計しています。
この点も、全国合格率を個人の合格可能性へ直接変換できない理由です。
登録販売者試験が難しく感じやすい4つの理由
1.全5章・120問と出題範囲が広い
厚生労働省の試験実施要領では、試験を5つの試験項目、合計120問で構成するとしています。
| 手引き上の章 | 内容 | 問題数 |
|---|---|---|
| 第1章 | 医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 |
| 第2章 | 人体の働きと医薬品 | 20問 |
| 第3章 | 主な医薬品とその作用 | 40問 |
| 第4章 | 薬事関係法規・制度 | 20問 |
| 第5章 | 医薬品の適正使用・安全対策 | 20問 |
※制度上、厚生労働省の試験実施要領では上記5領域を「試験項目」と呼びます。本記事では学習内容を説明するときは、手引きに合わせて第1章~第5章と表記します。
一次資料:厚生労働省|登録販売者試験実施要領
2.第3章は40問あり学習量を確保する必要がある
第3章「主な医薬品とその作用」は40問で、他の章の2倍の問題数があります。
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、胃腸薬、外皮用薬など、一般用医薬品の成分・作用・注意点を幅広く扱います。
そのため、医薬品知識がない状態から始める方にとっては、覚える情報量の多さを感じやすい章です。
ただし、すべての受験生にとって第3章が最難関だと一律に決めることはできません。
第3章の具体的な勉強法は、第3章「主な医薬品とその作用」攻略法で詳しく整理しています。
3.総合点だけでは合格できない
厚生労働省の試験実施要領では、合格基準について、総出題数に対して7割程度の正答であることに加え、各試験項目について都道府県知事が定める一定割合以上の正答を求めています。
つまり、一つの分野に大きな弱点を残したまま、他の章だけで総得点を補う学習には注意が必要です。
具体的に35%・40%のどちらを採用しているか、何問必要かなどは実施主体によって異なります。
詳しい足切り・合格基準は、登録販売者試験の足切りとは?科目別の合格基準を解説をご確認ください。
4.受験年度の最新手引きを確認する必要がある
登録販売者試験は、厚生労働省が作成する試験問題の作成に関する手引きの範囲から出題されます。
2026年度の学習では、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月)」を基準に確認してください。
同じ公式ページには、令和7年4月版からの修正履歴入り資料も掲載されています。
ただし、改訂された部分が必ず試験へ出題されると予想することはできません。
重要なのは、古い情報をそのまま覚えないよう、受験年度の公式範囲を確認することです。
5章ごとに難しさを感じやすいポイントは違う
登録販売者試験は、5章すべてが同じ種類の知識を問う試験ではありません。
| 章 | 主な内容 | 難しさを感じやすいポイント |
|---|---|---|
| 第1章 | 医薬品の基本的な特性 | 副作用、相互作用、薬害など基本概念を正確に区別する |
| 第2章 | 人体の働き | 臓器・器官と薬の作用を関連づける必要がある |
| 第3章 | 主な医薬品とその作用 | 成分・作用・副作用・注意点など情報量が多い |
| 第4章 | 薬事関係法規・制度 | 制度、主体、販売ルールなど似た表現を区別する |
| 第5章 | 適正使用・安全対策 | 添付文書、安全対策、副作用救済制度等を整理する |
どの章を最も難しいと感じるかは、受験者の経験や得意分野によって変わります。
したがって、試験難易度を考えるときも、第3章だけを見て判断するのではなく、自分にとってどこが弱いかを確認することが大切です。
都道府県別合格率には差がある|ただし難易度ランキングとは違う
令和6年度の厚生労働省全国資料では、自治体・実施主体ごとの合格率に大きな幅がありました。
たとえば北海道は62.3%、沖縄県は24.5%でした。
しかし、この数字だけを見て、北海道の問題は簡単、沖縄県の問題は難しいと断定することはできません。
合格率は試験結果を表す数字ですが、問題そのものの難易度だけを測定した数字ではないためです。
また、厚生労働省は登録販売者試験について、都道府県によって難易度等に格差が生じないようにし、一定の水準を保つことを制度上の目的としています。
地域別・都道府県別の合格率を詳しく比較したい方は、登録販売者試験の都道府県別難易度|受かりやすい県はどこ?で確認してください。
元大学講師として感じた、登録販売者試験の難しさの正体
ここからは公的な難易度指標ではなく、私自身が大学で登録販売者資格対策講座を担当した経験としてお伝えします。
医薬品知識ゼロだと専門用語の量に圧倒されやすい
医薬品を初めて学ぶ方にとって、最初の壁になりやすいのは専門用語の数です。
特に第3章では、成分名、作用、副作用、使用上の注意など複数の情報を関連づけて覚える必要があります。
私は講座では、成分名だけを孤立して覚えるのではなく、薬効群や作用と結びつけて整理するよう説明していました。
似た知識を正確に区別する必要がある
登録販売者試験は、まったく知らない内容だけが難しいわけではありません。
似ている制度、似た作用、似た注意事項を正確に区別することも必要です。
特に第4章では、法令上の主体や対象を入れ替えた場合に判断を誤らないよう、言葉の関係を整理しておく必要があります。
読んで分かった状態と、問題で正解できる状態は違う
テキストを読んで理解したつもりでも、実際に問題になると選択肢を判断できないことがあります。
この差を埋めるには問題演習が必要です。
ただし、この章では具体的な勉強方法までは広げません。
学習順序、過去問の始め方、章別の時間配分については、登録販売者試験の勉強法完全ガイドで詳しく解説しています。
勉強時間だけで難易度を判断しない
登録販売者試験について、200時間、300時間、400時間などさまざまな学習時間の目安が紹介されています。
しかし、厚生労働省は登録販売者試験に必要な標準学習時間を定めていません。
必要な学習量は、
- 医薬品知識の有無
- 過去の受験経験
- 確保できる学習期間
- 暗記・読解の得意不得意
- 現在の章別得点
などで変わります。
したがって、300時間必要だから難しい、200時間で受かるから簡単、といった評価はしません。
自分にとって難しい試験か確認する5項目
全国合格率より、自分の現在地を確認する方が受験判断には役立ちます。
| 確認項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 医薬品知識 | 一般用医薬品や人体について学んだ経験があるか |
| 教材 | 受験年度の最新手引きに対応しているか |
| 学習期間 | 試験日まで継続して学習できる期間があるか |
| 問題演習 | テキストを読むだけでなく問題を解いているか |
| 章別得点 | 一つの章だけ大きく低い状態になっていないか |
この中に不安が多ければ、現在の自分にとっては難易度が高い状態です。
逆に、問題演習で全5章の得点を確認しながら学習できているなら、全国平均合格率だけを見て必要以上に不安になる必要もありません。
難易度を確認したら次に読む記事を選ぶ
| 次に知りたいこと | 読む記事 |
|---|---|
| どう勉強すればよいか | 登録販売者試験の勉強法完全ガイド |
| 足切り・合格基準を詳しく知りたい | 登録販売者試験の足切りとは?科目別の合格基準を解説 |
| 都道府県別の合格率を比較したい | 登録販売者試験の都道府県別難易度 |
| 受験資格・申込・日程を知りたい | 登録販売者試験の受験資格と申込方法 |
| 一度不合格になっている | 登録販売者に2回目で合格する人の勉強法 |
登録販売者試験の難易度・合格率についてよくある質問
- 登録販売者試験の最新の全国合格率は何%ですか?
-
厚生労働省が全国公式集計として現在公表している最新値は令和6年度の46.7%です。受験者54,526人、合格者25,459人でした。なお、全国計は同一人物の複数受験等を含む可能性があるため延べ人数です。
- 2025年度の合格率は何%ですか?
-
2025年度は各自治体の試験結果が公表されています。各自治体公表値を集計した教育機関等では全国40.7%とする集計もありますが、2026年8月20日時点では厚生労働省の全国公式実施状況ページには令和7年度全国集計が掲載されていません。本記事では、厚労省全国公式値と自治体・民間集計を分けて扱っています。
- 登録販売者試験は難しいですか?
-
簡単・難関のどちらか一方で表すより、受験資格の入口は広い一方、全5章・120問の広い範囲を学び、総得点と各試験項目の両方で基準を満たす必要がある試験と考えるのが適切です。医薬品知識の有無などでも個人にとっての難易度は変わります。
- 合格率が高い都道府県の方が試験問題は簡単ですか?
-
合格率だけから試験問題の難しさを断定することはできません。厚生労働省は都道府県間で難易度等に格差が生じないようにすることを制度上の趣旨としています。合格率には問題以外の要素も関係するため、合格率ランキングをそのまま問題難易度ランキングとして扱わない方が適切です。
- 医薬品の知識がなくても受験できますか?
-
現在は登録販売者試験を受験するための学歴・実務経験要件はありません。そのため医薬品知識がない状態から受験を目指すこともできます。ただし、試験では医薬品、人体、法規、安全対策など幅広い知識が問われるため、受験までに学習する必要があります。
- 第3章が一番難しいですか?
-
第3章「主な医薬品とその作用」は40問と問題数が最も多く、成分・作用・副作用など幅広い知識を扱います。そのため学習量を確保する必要がありますが、すべての受験者にとって必ず最難関とは限りません。第4章の法規や第2章の人体を難しく感じる人もいるため、自分の章別得点で判断してください。
- 独学でも合格できますか?
-
特定の講座受講が受験要件ではないため、独学で受験することもできます。独学か学習支援を利用するかについては、難易度だけではなく、自分で学習計画・教材更新・弱点分析を行えるかで判断してください。
- 何時間勉強すれば合格できますか?
-
厚生労働省は登録販売者試験に必要な標準学習時間を定めていません。医薬品知識、受験経験、学習期間などによって必要量は変わります。具体的な学習計画は勉強法の完全ガイドで確認してください。
まとめ|合格率ではなく試験構造と自分の現在地から難易度を判断する
登録販売者試験の難易度は、全国合格率だけでは判断できません。
- 厚生労働省の全国公式最新合格率は令和6年度46.7%
- 受験者54,526人、合格者25,459人だが全国計は延べ人数
- 2025年度は自治体結果が公表済みだが、厚労省の全国公式集計は本記事確認時点で未掲載
- 自治体別合格率の差をそのまま問題難易度差とは判断しない
- 試験は全5章・120問で、第3章は40問
- 総得点だけでなく制度上は各試験項目にも合格基準がある
- 受験資格の入口は広い一方、受験者の知識・経験には大きな差がある
全国合格率は、試験全体の傾向を知る参考資料としては有用です。
しかし、自分が合格できるかを考えるなら、医薬品知識、試験までの期間、問題演習の得点、章ごとの弱点を確認する方が実用的です。
難易度を把握したら、次は自分の現在地に合わせて学習計画を作ってください。
勉強の進め方を知りたい方
登録販売者試験の勉強法完全ガイド|独学の進め方・学習順序を元大学講師が解説
合格基準・足切りを詳しく確認したい方
登録販売者試験の足切りとは?科目別の合格基準を解説
